BUSINESS NEWS
  • share with weibo
  • share with LINE
  • share with mail

再上陸ブランドに勝機はあるか?2022年重大ニュース(その6)

Dec 16, 2022.三浦彰Tokyo,JP
VIEW139
  • share with weibo
  • share with LINE
  • share with mail

2022年は一度日本市場から撤退しているブランドの再上陸が話題になった年だ。主だった再上陸ブランドをあげてみると:

1. 「フォーエバー21(Forever 21)」
三愛の手によって日本に初めて上陸したのは2000年。日本国内に2店舗出店したが1年ほどで撤退。2009年4月29日に原宿に路面店をオープンさせ日本再上陸。2019年9月25日、米国において米本社が連邦破産法第11条を申請し倒産。これに伴い2019年10月31日をもって日本国内の14店舗を全て閉鎖。その後ブランドホルダーになったオーセンティック・ブランズ・グループと伊藤忠商事が契約し、日本のマスターライセンス権を獲得したと2022年9月に発表。アダストリアをサブライセンシーに2023年春夏から販売開始。

2. 「エディー・バウアー(Eddie Bauer)」
1994年にドイツの通販会社オットーグループと「エディー・バウアー」との合弁会社(オットー70%、エディー30%)によって自由が丘に1号店をオープンし日本上陸。2009年に米本社が連邦破産法第11条申請で倒産した後も日本展開を続けたがコロナ禍もあり2021年12月31日をもって日本撤退。2022年に伊藤忠商事が現在のブランドホルダーのオーセンティック・ブランズ・グループと日本のマスターライセンス権を取得し、岐阜のアパレルメーカーの水甚をサブライセンシーにして2023年春夏から日本の取り扱いを再開する。

3. 「アメリカンイーグル・アウトフィッターズ(American Eagle Outfitters)」
日本初上陸は2012年4月。青山商事と住金物産(現日鉄物産)の合弁会社として2010年12月に設立されたイーグルリテイリングによって、2019年3月末まで33店舗を出店したが赤字続きで2020年11月25日営業終了。2019年3月期は売上高122億9400万円(前年より13億500万円減)、営業損失が13億5500万円の赤字(前年は7億7300万円の赤字)。青山商事は2020年3月期決算で事業整理損失69億9800万円を計上。再上陸はアメリカン イーグル アウトフィッターズの日本法人であるアメリカン イーグル アウトフィッターズ ジャパンによる。価格やサイズなどローカライズしたMDや輸入卸売業者LTNと代理店契約を結び卸売事業もスタートする。10月には池袋と渋谷に路面店をオープン。

4. 「アメリカン・ラグ・シー(AMERICAN RAG CIE)」
1998年にサザビーリーグが80%(残り20%は本国のインダストリーワーツ社)を出資してアメリカン ラグ シー シャパンの事業を開始。2018年9月にサザビーリーグは同社の事業を終了。2019年に伊藤忠商事がマスターライセンス契約を結びコロネットを運営会社にして再上陸。その後そのサブライセンス権をレオン・インターナショナルが引き受けて2021年4月に再上陸という形で原宿キャットストリートに店舗をオープンし、今回リニューアルした新宿フラッグス2階に2号店をオープン。

ビジネスのスタートが昨年、来年のブランドも含め主な再上陸ブランド(「フォーエバー21」は再々上陸)を4つ紹介したが、うち3つが伊藤忠商事がマスターライセンス権を獲得しているのが注目だ。猛ラッシュしている。うち2つに「ブランドの廃品回収屋」の異名を持つオーセンティック・ブランズ・グループが絡んでいる。「フォーエバー21」に至っては、本来のファストファッション形態とは無縁で日本市場向けにアダストリアが商品開発し、ブランド名だけ借用するというビジネスだ。ブランド名にそんな力があるのだろうか。

4つのうち2つは本国のアメリカで倒産しているブランドだ。ファッションビジネスの先進国アメリカでうまくいかなかったのだからそれで日本で成功するのか?さらに「再上陸ブランドに勝機なし」という鉄板の格言を覆すほどに有力な企業が扱っているかというとこれも微妙である。再上陸ブランドに頼るしかないほどもう欧米にはブランドがないのだろうか?

加えてインポート商品を扱うブランドにとっては現在の円安状況の中でやっていけるのかどうか甚だ疑問である。不安だらけの再上陸ブランドだがそれなりに勝算はあるのだろうか。健闘を祈りたい。

READ MORE