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インタビュー:現代アーティスト、ダニエル・アーシャム「アートとコラボレーションするということ」

Jun 1, 2018.呉ステファニーTokyo, JP
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ニューヨークを拠点に活動する現代アーティストのダニエル・アーシャム(Daniel Arsham)は作品の中で、様々な視点を通して、私たちが日常的に知覚しているものを異なる光で表現している。布のようにドレープのついたコンクリートの壁や、壁に埋め込まれた不気味な人形、火山灰とクリスタルが中から溢れ、太古の時代からやってきたような雰囲気を纏ったパステルカラーのプーさん(Winnie the Pooh)など。ダニエルは空間と形を使って私たちが見慣れた物を変え、見る者の感覚をわざと混乱させるような機会を探しているように感じられる。彼の作品は伝説的な振付師のマース・カニングハム(Merce Cunningham)をはじめ、ファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)やアッシャー(Usher)といったアーティスト、スポーツ大手ブランドの「adidas(アディダス)」など様々な有名人や業界から注目を集め、コラボレーションの申し込みがひっきりなしにある。東京のアートギャラリーNANZUKA(ナンズカ)とPERROTIN(ペロタン)での個展開催のため日本を訪れた彼に、作品やコラボレーションについて話を聞いた。

ーこの展覧会への想いを教えてください

前回の個展の時から、私の作品におけるシンプルなアイデアと素材の扱い方は”削ぎ落とす”という点で、日本人に共鳴するものがあると思っている。日本には不完全の美と滅びの美学という哲学があり、これは私の作品への気配りや展示方法に通ずるものがある。その精神を私のライフスタイルに取り入れられたらと思っている。

ーこれまでの多様な業種とコラボレーションしていますね。その中の一つにadidasがありますが、このコラボレーションはどのように始まったのでしょうか?またコラボレーションする上で難しさを感じたことはありますか?

一番最初にadidasとコラボした時は、彼らの理念や使っている素材について考え、作品の素材を扱うのと同じように、3つの異なる作品を作った。私の作品の多くは時間の流れを表現していて、最初のスニーカーは”過去”をテーマに1970年代のランナーをベースに制作した。2つ目は”現在”で、ブースト・テクノロジーを採用した。3つ目は4Dランナーを使い”未来”の姿を表現した。。なぜなら、adidasは本当に自由になんでもやらせてくれる、素晴らしいパートナーだった。普段はなかなかそういうサポートはないから嬉しかった。

ー彼らから”縛り”を感じることはありましたか?

「あなたがしたいことが、私たちのしたいことだ」と言ってくれた。スニーカーのパッケージで、私は一度開けたら閉められない、タイムカプセルのようなものを作りたくて、規模の大きい企業では難しいかと思ったが、彼らは実現してくれた。

ーこれまでのコラボレーションで柔軟に制作できなかったことはありますか?

私は常に人を見て、判断する。adidasは会社としてではなく、私がもともと知り合いで尊敬している人物からのアプローチだった。一度相手について知り、信頼関係を作れたなら、コラボレーションは上手く行くと考えている。

ーアーティストとして、自らコラボレーションの機会を探すことはありますか?

自分で探すことはしない。相手から声が掛かる。

ー最後に、アートとビジネス(収益化)に対しては様々な意見がありますが、アーティストとしてどのように考えていますか?

世界は大きく変化していて、いろいろな企業が自分たちの製品について再考するためにクリエイティブな人を求めている。私の作品は時には非常に高価で、人々に受け入れられないこともある。高校生が必ずしも私のギャラリーに来るとは限らない。しかし、彼らにとってadidasとのコラボレーションのようなプロジェクトを通して、アートと繋がるのは興味深いことだろうと思うし、それが彼らにとってアートに触れる最初の機会になり得る。そこで興味を持てば展覧会に来るかもしれない、こうした活動は私の作品を見る人の範囲を広げることにとても役立っている。企業も若い世代にリーチするためにコラボレーションをしているのだろう。

 

PERROTIN - Daniel Arsham「カラー・シャドウ」展
東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル1F

会期:5月23日〜6月30日  11:00-19:00(月曜・日曜・祝祭日は定休)

 

NANZUKA - Daniel Arsham「Architecture Anomalies」
東京都渋谷区渋谷2-17-3 渋谷アイビスビル B2F

会期:5月23日〜6月30日 11:00-19:00(月曜・日曜・祝祭日は定休)

  • 呉ステファニー

    SEVENTIE TWO 記者・エディター

    共同創作は、ブランドにとってこれまでにない存在を作ると言える。創作から生まれたものは複製し難く、特別なものだ。親近感のある人物やユニークな人物と協業することで、消費者の間につながりをもたらし、そこに関連性が生まれる。さまざまな業界と関わる新たな機会にもなるだろう。今のコラボレーションには、消費者の参加意識が欠かせない。それは次の流行と社会的変化にも深く関わっているではないだろうか。

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