
高級家電ブランド「バルミューダ(BALMUDA)」を展開するバルミューダが8月8日に発表した2025年12月期の中間期決算は、売上高51億8700万円で前年同期比18.1%減、営業損益は3億8400万円の赤字(前年同期は9100万円の赤字)だった。親会社株主に帰属する中間純損益も3億9700万円の赤字(前年同期は3100万円の黒字)となり、第1四半期から赤字幅がさらに拡大した。
国内市場の落ち込みが大きな要因だ。主力の日本国内の売上高は35億2300万円と前年同期比11.8%減。物価上昇で消費マインドが冷え込み、高価格帯製品を主力とする同社にとって逆風となった。韓国市場も厳しい状況が続く。売上高は9億5500万円と前年同期比29.0%減で、3割近い減収だ。
北米では、3月に電気ケトルを発売し、4月にはニューヨーク・ブルックリンの複合施設「50 Norman(フィフティ・ノーマン)」に出店。しかし、売上高は2億5800万円と前年同期比2.5%減にとどまり、売上高構成比でも5%程度で目立った成果は出せていない。米国向けの仕入れを前倒しすることで現時点では高関税を回避しているが、今後の通商政策次第では利益圧迫の懸念が残る。
製品カテゴリー別に見ると、空調関連、キッチン関連、その他のアイテムすべてが前年同期比で2桁減。特に猛暑で需要増が見込まれた空調関連も、前年比24.6%減と2桁のマイナスに沈んだ。空調関連の販売不振は痛手で、猛暑の追い風を活かしきれなかった。
バルミューダは、2025年12月期通期の連結業績予想を据え置いており、売上高は125億円(前年比0.3%増)、営業利益は2000万円(同59.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1000万円(同85.1%減)を見込む。2021年12月期には過去最高の最終利益10億1500万円を計上したが、今期予想はその100分の1にあたる水準で、ブランドの再成長シナリオは見通せない。
ブランド立ち上げ当初は若年層を中心に支持を集めたが、物価高や生活防衛意識の高まりで高価格帯家電の購買が鈍っている。「バルミューダ」は独自デザインと機能性でコアなファン層を持つが、市場の高価格帯家電への需要は世界的に鈍化傾向にある。新興メーカーの台頭もあり、競争環境は一段と厳しさを増している。「バルミューダ」が再び成長軌道に乗るには、海外戦略の見直しと、新たなヒット製品の創出が急務となりそうだ。