
傘や帽子、スカーフなどのファッション雑貨を手掛けるムーンバットは8月7日、2026年3月期の第1四半期決算を発表した。売上高は40億9500万円で前年同期比6.1%増、営業利益は7億2000万円(同32.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は5億8600万円(同37.8%増)と、大幅な増収増益を記録した。
今期の通期予想として掲げていた最終利益4億5000万円を、すでに第1四半期で超えてきた。記録的な猛暑の影響で日傘など洋傘関連の売り上げが好調で、業績を大きく押し上げた。今年は例年よりも早い時期から気温が急上昇。梅雨入り前から猛暑日が続き、消費者の間でUVカット商品や暑さ対策グッズへのニーズが急増している。特に女性を中心に人気の日傘は、夏本番を前に売れ行きが加速。連日の猛暑によって、7月以降の追加需要も期待されている。
帽子やスカーフといったファッション性と機能性を兼ね備えたアイテムも好調で、暑さと紫外線への対応が消費者の購買行動を後押しした格好だ。こうした気候背景を受け、ムーンバットの主力である身の回り品事業は好調に推移。第1四半期の売上高は39億8600万円(同6.6%増)、営業利益は7億1500万円(同32.5%増)と、前年を大きく上回った。
ムーンバットは、UVカット機能を備えた日傘を日本でいち早く商品化した企業として知られる。手軽に開閉できる「ダブルジャンプ傘」を1970年に開催された大阪万博で約1万本無償貸し出しした実績もあり、これがのちに「万博傘」として商品化されるなど、業界を牽引してきた技術力とブランド力は健在だ。
これまでに、紫外線対策を目的とした各種機能性傘をはじめ、多様なライフスタイルに対応する商品開発を継続的に進めてきた。利便性と品質への信頼感、さらに半世紀以上にわたって傘の機能性に磨きをかけてきたムーンバットのDNAが、今期の好業績に直結したといえるだろう。
ムーンバットは通期の連結業績予想として、売上高116億円(前年比2.9%減)、営業利益5億5000万円(同21.7%減)、最終利益4億5000万円(同22.9%減)を見込んでいる。原材料費の高騰などを織り込んだ保守的な見通しとなっているが、男性向けの日傘の浸透拡大や、訪日外国人観光客によるインバウンド消費の回復など、追い風も存在する。ムーンバットが持つ独自の開発力と販売網が、さらなる成長のドライバーとなる可能性もある。気候変動をチャンスに変えたムーンバットの動きは、ファッションと機能性を融合させたブランド戦略の好例といえる。真夏を迎える第2四半期以降の動向にも注目が集まる。