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ストラテジックキャピタル買い占めでダイドーリミテッドが上昇率第1位

Dec 2, 2022.三浦彰Tokyo,JP
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ウェブメディア「セブツー」では、毎月ファッション&アパレル関連株83銘柄の株価の騰落率ランキングを発表している。今回は2022年11月1日(火)の始値と11月30日(水)の終値を比較した騰落率ランキングになっている。騰落率ランキング表は下欄に掲載。

この間の主な相場指標を振り返ると、ニューヨークダウ平均が11月1日の始値3万2975ドル48セントから11月30日の終値3万4589ドル77セントまで4.8%の上昇だった。米国のインフレは全く収まっていないが、アマゾン、イーロンマスクに買収されたツイッター、メタ(旧フェイスブック)などのIT大手企業が大規模なリストラを始めたことで景気悪化は歴然、インフレ対策とは言え急激な金利上昇はないだろうと買いが優勢になっている。いわゆる「不景気の株高」である。日経平均もこのNYダウ平均に追随してはいるがこの間に円高もあり、11月1日始値2万7614円64銭で11月30日終値2万7968円99銭で1.2%の上昇にとどまった。 

こうした中で、「セブツー」が選んだ83銘柄の単純平均はこの間1.9%の上昇だった。値上がりした銘柄は52、変わらなかった銘柄3、値下がりした銘柄は28だった。 

値上がり率第1位(+39.5%)はアパレルメーカーのダイドーリミテッドだった。同社が7月7日に子会社ダイドーフォワードが本社売却で100億円の特別利益を計上したことを発表した。その際に株価は一時ストップ高した。11月24日には秋葉原電気街入口のホテルをその売却資金で購入すると発表。住所では「アパホテル」だが、この家賃収入を得ていこうと考えているようだ。買ったアパホテルは25億円ほどで残りは特別利益として第4四半期に計上する予定だという。この一連の動きに関連があるのか、丸木強率いるストラテジックキャピタルが同社株を大量買いして11月25日には財務省にその株数が全体の5%を超えたと大量保有報告書を提出している。11月の株価上昇はこのストラテジックキャピタルの株買い占めのためだ。ストラテジックキャピタルは村上ファンドほど強硬ではないが、「物を言う株主」であり、今後経営改革をダイドーリミテッドに提案する可能性もある。ダイドーリミテッドが保有する最大の不動産資産は旧小田原工場跡地(アパレルが主力になる前の祖業は毛織物メーカーだった)に開発した大規模ショッピングセンターダイナシティの売却を迫るのではないかという見方もある。11月10日に発表されたダイドーリミテッドの第2四半期(2022年4月1日〜2022年9月30日)決算では売上高は前年比+18.6%の128億円9500万円だった。しかし営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する四半期利益は前年よりも赤字幅は大きく減少したものの依然として赤字のまま。通期でも営業利益、経常利益は依然として赤字予想。「ブルックス ブラザーズ」「ニューヨーカー」と看板ブランドを持つ同社だが、不動産に力点を老いた業態転換を進めるのか。その際には同社株16.18%を保有する最大株主のオンワードホールディングスの動向も気になるところである。 

上昇率第2位(+28.4%)はアシックス。同社は11月11日に第3四半期(2022年1月1日〜2022年9月30日)決算を発表した。

・売上高:3630億6800万円(前年比+12.7%)
・営業利益:360億5100万円(同+0.7%)
・経常利益:342億1900万円(同−4.1%)
・親会社株主に帰属する四半期純利益:232億4500万円(同+21.9%)

為替差損によって、経常利益がわずかに減少になったが好調は持続している。それよりも、第3四半期決算発表と同時に発表された通気業績予想が上方修正されたことが好感を持たれた。前回業績予想は8月12日の第2四半期発表時のものだ。

・売上高:4600億円→4800億円
・営業利益:270億円→340億円
・経常利益:260億円→320億円
・親会社株主に帰属する四半期純利益:180億円→210億円

もうこの11月11日の業績上方修正を知っているかのように、11月10日から株価は上昇を始め(同日終値2429円)、11月16日には3000円台に突入している。 

上昇率第3位(+22.2%)は、アパレルメーカーのルックホールディングスだ。百貨店卸をメインにしていたが、現在は直営店展開や韓国事業など多面的な業態をもつ企業に変容している。収益認識に関する会計基準を今期から採用しているため前年との比較はできないが、11月10日に発表になった第3四半期(2022年1月1日〜2022年9月30日)決算は以下の通り。

・売上高:392億4400万円(前年285億800万円)
・営業利益:27億4800万円(前年7億6600万円)
・経常利益:32億100万円(前年9億8100万円)
・親会社株主に帰属する四半期純利益:23億3000万円(前年6億900万円)

単純比較はできないが、すでにコロナ禍前の2019年の業績を大きく上回っていると考えてよいレベルの業績だ。このため同社は、同日2022年第4四半期決算予想の上方修正を行った。前回業績予想は8月8日の第2四半期決算発表時のもの。

・売上高:530億円→535億円
・営業利益:34億円→38億円
・経常利益:36億円→41億円
・親会社株主に帰属する四半期純利益:24億円→29億円
・配当:50円(年間)→60円(年間)
これを受けて同株はこの発表(終値2110億円)のあった翌日から上昇を続け一時2500円を突破している。 

83銘柄中で最下位は株価下落率−13.5%のセレクトショップチェーンTOKYO BASEだった。11月16日に特別損失の計上及び通期連結業績予想の下方修正及び無配を発表したことで失望売りが出た。原因は同社の連結子会社である東百国際貿易(上海)有限公司が運営する一部の店舗の撤退を決議し、その固定資産について減損損失3億9400万円を特別損失として計上したため。前回の予想は9月14日の第2四半期発表時のもの。

・売上高:210億円→189億円
・営業利益:12億円→−1億円
・経常利益:12億円→1億8000万円
・親会社株主に帰属する四半期純利益:8億4000万円→−7億円
・配当:2円→0円

赤字&無配転落である。株価は200円台に突入してしまった。同社は中国戦略にかなり力を入れていたため、現在の中国のゼロコロナ政策の影響は大きかった。2017年のピーク時にはセレクトショップ界の星として2000円の株価までつけた同社だが、巻き返しなるだろうか。

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