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「フォリ フォリ」粉飾決算の疑いで株価が暴落

May 24, 2018.Tokyo, JP
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5月3日、「Folli Follie(フォリ フォリ)」を運営するギリシャのジュエリーグループフォリ フォリ(Folli Follie)に出資している投資家から依頼されて調査を行なっていた米ヘッジファンドのQuintessential Capital Management(以下、QCM)は、フォリ フォリに粉飾決算の疑いがあるとの審査結果を発表した。同社は売上高の2桁成長を公式発表しているが、実際は事業規模と現金残高が大幅に低下しており、原因には中国の子会社が大きく関わっているという。

これを受けてフォリ フォリの株価は5月4日に約30 %下落。その後ギリシャ資本市場委員会が介入し、フォリ フォリが2017年度の財務諸表を第3者委員会に提出すると、グループの株価はさらに下落し、発表数日で50 %近く暴落した。

QCMのリポートによると主要ブランドである「Folli Follie」の販売先は2016年の発表で630カ所とされていたが、現在運営されているのは半数にも満たない289カ所で、閉鎖された販売先にはニューヨークのソーホーやマディソンアベニューの店舗など代表的店舗もあり、ブランドのホームページにはこれらがまだ販売先として表示されたままだ。さらに運営中の販売先は小規模な店舗が多く、オンラインやSNSのアクティブユーザーも特にアジアでかなり縮小しているという。

財務状況をみると、公式のデータでは収入と利益が増加しているが、フリーキャッシュフロー(FCF)はマイナス成長を続けている。その主な原因はアジアの子会社で運転資本が大幅に膨らんでいることで、同業他社と比較しても、受取手形・売掛け金と棚卸し在庫が明らかに不釣り合いなのだ。フォリ フォリはアジア地域では10億ドル(約1060億円)の売り上げがあり、その70%は中国が占めていると主張している。しかし、中国の2つの子会社Fu Li Fu LeiとBinlianyunの売上高は4000万ドル(約42億4000万円)で販売先も合わせて50カ所しかない。

QCMはフォリ フォリの会計機関に対しても懸念を発表している。同社の会計管理は世界有数の国際会計事務所ベーカーティリー(Baker Tilly)だったが、最近規模の小さいエコヴィス(ECOVIS)に変わっている。さらには10億ドル規模のアジア全体の売り上げの管理を任せているのは従業員がたった2名の企業で、4大会計事務所に所属する中国人会計士によれば、フォリ フォリが公式に発表しているアジアでの売り上げ規模や販売先数から考えて、このような企業では管理は不十分である可能性が高いという。

フォリ フォリは1997年にアテネ証券取引所(Athens Exchange)に上場を果たした。悲願の上場のためにかなり無理をした経営を続けていたといわれるが、上場で得た資金で経営が正常化したのも事実だった。しかし、それから11年後にリーマン・ショックに巻き込まれた。周知のようにその影響が最も大きかったのがギリシャで、フォリ フォリはまた経営難に見舞われたようだ。今回の粉飾決算疑惑もそうしたリーマン・ショック後の経営の困難を如実に表しているのではないだろうか。

*1ドル=106円で換算

 

グラフ:最近のフォリ フォリ株価推移(ユーロ)

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