アレッサンドロ・ミケーレが「グッチ」を退任
Nov 24, 2022.Tokyo,JP
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9%にとどまっており、ケリングの他のラグジュアリーブランドに比べて伸びの鈍化が指摘され、「デザインにおける方向転換」を求められたが、これにミケーレが応じなかったのが今回の辞任の原因だと言われている。この「方向転換」を考えていたのは、フランソワ・アンリ・ピノーCEOだという。トム・フォードの辞任に続いてまたしてもタイクーン・ピノーの登場である。いかに「グッチ」を死滅の危機から救ったヒーローであるクリエイティブ・ディレクターといえども、親会社のオーナーには勝てない。ファッションビジネスといえども、最終的には資本の論理が優先するのだ。
気になるのはピノーCEOが考える「方向転換」がどんなものかということだ。これは、言うまでもなくエレガンス・ラグジュアリー&モダン・クラシックへの回帰ということなのだろう。私は朝夕六本木ヒルズを通勤で通るのだが、とにかく六本木ヒルズは「グッチ」の広告だらけなのだ。最近の「グッチ」の広告を見ていると、ミケーレ風の遊び心のないクラシックなスタイリングが多くて全然面白くないと思っていた矢先の今回の辞任だった。
いずれにしても2010年代後半のファッション界を席巻した「ミケーレ・グッチ」に終わりが来てしまったのは残念としかいいようがない。しかし考えようによっては、8年間大暴れしたのだからまあ「潮時」と言えるかもしれない。今後「グッチ」がどうなるかよりも、ミケーレの今後がどうなるのかに私は注目している。