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「平成のコラボ男」藤原ヒロシは「裏」と「影」の男

Jun 21, 2019.久米川一郎Tokyo, JP
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PR TIMESより

藤原ヒロシ(1964年2月7日〜)の勢いが止まらない。昨年9月にポケモンとのコラボ「サンダーボルトプロジェクト」が発表され、その第1弾が10月6、7日にニューヨーク・ブルックリンで発売されて以来、爆発的にヒットしているのは周知の通り。ポケモンコラボだけではない。直近ではラグジュアリーの本丸ともいうべきジュエリーの「ブルガリ」とのコラボが発表されている。まさに「平成のコラボ男」と呼ぶにふさわしいような八面六臂の活躍ぶりなのである。この、ファッションデザイナーにしてミュージシャンの藤原ヒロシなる人物は、こんな脚光を浴びる男なのだろうか。なにか「ウサン臭さ」がつきまとう。「裏原」と呼ばれるエリアがこの男の主戦場であったが、この「裏」というのが本当はこの男の本質なのであろう。彼と密接な関係がありながら表舞台には登場しない「ミルク(MILK)」の大川ひとみや「アンダーカバー(UNDERCOVER)」の高橋盾の代弁者なのではないかという気がしてくる。高橋盾を媒介にして「コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)」の川久保玲あたりとも通底しているとも言える。ロンドン時代はヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)あたりとも付き合いがあり、こういう反逆の猛女たちと親和性があるようだ。あるいは藤原ヒロシに似ていることから「二号」と名付けられた「NIGO」がすっかり表舞台から退場してしまった今、「第一号」である藤原ヒロシがその代役を演じていると言えないこともない。NIGOは藤井フミヤに憧れてこの世界に入ったと言っていたが、藤井フミヤと藤原ヒロシはよく似ているし、そもそも名前も似ている。

藤原ヒロシの父親はあまり語られないけれども競輪選手の藤原武である。こういう出自がなかなか渋い。そういう「裏」であり「影」であり渋い藤原ヒロシが今、サンサンと陽が照る表舞台に登場している。一体、この表舞台を藤原本人はどう思っているのだろう。ひそかに退場を願っているように思うのは私だけだろうか。WWDジャパン2017年12月18日号で藤原はこんなことを言っている。「常に寝ている間に死ねればいいなと思っている。タナトス信仰者というか、最終的に死に向かって進んでいる感じは否めない」。なんかモーツァルトの手紙の一節「死はいつも私の隣にありました」という言葉を思い出させるような不吉で諦観に満ちた言葉なのである。モーツァルトのその一節を知っているのかと思うけれど、そんなことはあるまい。「裏」であり「影」である人間の悟りである。

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