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ケリングの株価は4.8%上昇 ルカ・デ・メオ新CEOの改革初手はロレアルとの「ラグジュアリービューティ連合」の結成

NEWOct 21, 2025.高村 学Tokyo, JP
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フランスのラグジュアリーグループ、ケリング(Kering)と世界最大のビューティ企業、ロレアル(L'Oréal)は10月19日、ラグジュアリー・ビューティおよびウェルネス分野における長期的な戦略的パートナーシップを締結したと発表した。この提携は、ロレアルによる「ハウス・オブ・クリード(House of Creed)」の買収を含む大型取引で、取引総額は約40億ユーロ(約7000億円*)。

今回の合意により、ケリングは傘下のビューティ部門「ケリング ボーテ(Kering Beauté)」と、高級香水ブランド「ハウス・オブ・クリード」をロレアルに売却する権利を保有する。また、ロレアルはケリングが展開する主要ラグジュアリーブランドのフレグランスおよびビューティ製品について、創造・開発・流通のすべてを手掛ける50年間の独占ライセンス契約を取得する。

対象となるブランドは、「グッチ(GUCCI)」を筆頭に、「ボッテガ・ヴェネタ(Bottega Veneta)」「バレンシアガ(Balenciaga)」など、ケリングを代表するファッションメゾン。「グッチ」については、現在ライセンスを保有する米コティ(Coty)との契約終了後に、ロレアルが引き継ぐ形となる見通しだ。

この動きは、高級ファッションとビューティの垣根を超えた「ラグジュアリービューティ連合」の結成を意味する。ロレアルは「イヴ・サンローラン・ボーテ(Yves Saint Laurent Beauté)」などをすでに展開しており、ケリングの複数ブランドを傘下に加えることで、ハイエンド市場での地位をさらに強固にする狙いがある。

今回の発表を受けて、ケリングの株価は同日4.8%上昇。ケリングでは9月15日付でルカ・デ・メオ(Luca De Meo)氏が新CEOに就任しており、今回の提携は同氏による経営刷新の第一弾とみられる。

ルカ・デ・メオCEOは声明で「この戦略的提携は、ケリングにとって極めて重要な一歩」とコメント。今後は、香水・化粧品のみならず、ウェルネス分野での独占的な共同事業の立ち上げも視野に入れており、ラグジュアリービューティ業界の構造変化を加速させる可能性が高い。

*1ユーロ=175円で換算(10月21日時点)

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