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ジョルジオ・アルマーニが遺言 「最後の独立帝国」はLVMHやロレアル、エシロール・ルックスオティカが売却先候補に

NEWSep 13, 2025.高村 学Tokyo, JP
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9月4日、イタリアを代表するデザイナーであり実業家のジョルジオ・アルマーニ(Giorgio Armani)が91歳で逝去した。世界のファッション界に多大な影響を与えた巨匠の死は大きな反響を呼んでいるが、同時に注目を集めているのが「遺言」に記された内容だ。アルマーニが創業し、いまなお独立系の大手として存在感を放つジョルジオ・アルマーニ社の今後の行方である。

複数の海外メディアによると、アルマーニは生前に遺言を残し、自らが保有していた同社株式の売却先候補を具体的に指名していたという。候補として名前が挙がったのは、世界最大のラグジュアリーグループであるLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)、化粧品大手ロレアル、アイウエア最大手のエシロール・ルックスオティカといった世界的企業だ。いずれもファッションやビューティ業界で巨大な影響力を持ち、アルマーニブランドの今後を託すに足る存在として選ばれたとみられる。

LVMHは「ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)」「ディオール(Dior)」「セリーヌ(CELINE)」など数多の名門ブランドを傘下に収めるコングロマリット。仮にアルマーニが加われば、イタリアを代表するブランドがフランス資本に渡ることとなり、欧州ラグジュアリー業界の勢力図は大きく変わる可能性がある。

一方、ロレアルは世界的に化粧品市場を席巻しており、近年はファッションとのシナジー強化を模索。さらにエシロール・ルックスオティカは「レイバン(Ray-Ban)」などを展開する眼鏡の世界最大手で、アルマーニとも長年アイウエアで協業してきた実績を持つ。

アルマーニ社は1975年に設立され、プレタポルテから始まり、メンズ・ウィメンズウェア、アクセサリー、アイウエア、香水、ホテル事業に至るまで幅広く展開してきた。とりわけ80年代以降は「アンコンストラクテッド・ジャケット」に象徴される柔らかなスーツで一世を風靡し、ミラノ発のモードを世界に知らしめた。創業者の死を機に独立性を維持するのか、あるいは巨大資本の傘下に入るのか、その行方は世界中の関係者が注目している。

イタリアでは、「フェンディ(FENDI)」や「ブルガリ(BVLGARI)」、「ヴァレンティノ(VALENTINO)」といった名門ブランドが次々と外資に買収されてきた歴史がある。その中でアルマーニは長らく「最後の独立帝国」と呼ばれ、自らの美学と経営哲学を守り続けてきた。その強い意志を持つ人物が遺言で外部企業を名指ししたことは、業界に衝撃を与えている。

今後の株式売却プロセスや経営承継の詳細は明らかになっていないが、LVMHをはじめとする候補企業がどう動くのか、またイタリア政府や業界関係者が「国民的ブランド」を守るために関与するのかも焦点となる。アルマーニの死は単なる一人の巨匠の終焉ではなく、イタリア・ラグジュアリー産業全体の将来を左右しかねない節目となりそうだ。

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