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6年前の誓約破りで再燃 模倣問題で「GRL」運営会社がマッシュHDに解決金3億円支払い

NEWFeb 25, 2026.セブツー編集部Tokyo, JP
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撮影:SEVENTIE TWO

ファッション業界の知的財産を巡る問題が、再び大きな注目を集めている。「ジェラート ピケ(gelato pique)」「スナイデル(SNIDEL)」などを手掛けるマッシュホールディングス(以下、マッシュHD)は2月25日、ファッション通販サイト「GRL(グレイル)」を運営するアートデコおよびGioを相手取り、商品形態の模倣を理由に提起していた差止請求および損害賠償請求訴訟について、1月30日に知的財産高等裁判所で和解が成立したと発表した。

今回の和解では、被告であるアートデコらがマッシュHDに対し、解決金として総額3億円を支払うことが柱となる。さらに、問題となった商品17点の販売中止および廃棄を行うこと、そして今後はマッシュHDの商品デザインを模倣しないことを確約する内容が盛り込まれた。長期化していた紛争は、一定の区切りを迎えた形だ。

一方で、この問題の背景には、ファッション業界特有の構造が横たわっている。「GRL」は「9,999円以下で全身コーディネートが揃う」というコンセプトを掲げる低価格ECサイトで、インスタグラムのフォロワーは136万人超、月間PVも1億を超えるなど、若年層を中心に影響力を持つ。トレンドを素早く取り入れ、低価格で提供するビジネスモデルは成長の原動力となる一方、デザインの類似性を巡る議論とも隣り合わせにある。

両社の対立は今回が初めてではない。2015年には、「GRL」でマッシュHD商品の模倣品が販売されたとして刑事告訴に発展。日本で初めて、ファッション商品の形態模倣が刑事事件として摘発される事例となり、当時のGioの代表取締役の逮捕や模倣品の押収に至った。この問題を受け、両社は和解し、アートデコ側は今後マッシュHD商品のデザインを模倣しない旨を誓約していた。

しかし、その後も問題は再燃する。マッシュHDによれば、2022年頃から再び同社ブランドのデザインを模倣したとみられる商品が多数販売されていることが確認された。2022年3月以降、計31商品の販売中止などを求めたものの、一部は対応された一方で、残る商品については「企画・販売時期が先行している」として模倣を否定し、販売が継続されたという。こうした経緯が、今回の訴訟提起に至った。

今回の和解は、単なる企業間トラブルの解決にとどまらない意味を持つ。ファッション業界では、デザインの保護が難しいとされる一方で、近年はブランド価値の毀損やクリエイティブの正当な対価を巡る議論が強まっている。特にEC市場の拡大とSNSの影響力の増大により、トレンドの拡散速度が加速する中で、「模倣」と「トレンド」の境界はより曖昧になっているのが実情だ。

そうした中で、今回のように具体的な金銭解決と販売停止、さらに将来の不作為義務まで明記された和解は、業界に対して一定のメッセージを発するものといえる。低価格・高速供給を武器とするアパレル企業と、独自性を重視するブランドビジネスの緊張関係は、今後も続くとみられるが、そのルール作りが問われている。

ファッションの価値は単なる価格や流行だけではなく、デザインという無形資産に支えられている。その保護と流通のバランスをどう取るのか。今回の和解は、急成長するEC時代における知的財産の在り方を改めて浮き彫りにする事例となった。

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