
マッシュスタイルラボが2018年春にスタートした「セルフォード(CELFORD)」は「THE FIRST LADY(ザ・ファーストレディ)」をコンセプトにエレガントでモードに着こなせるアイテムを展開している」(同社資料)。同社としてはかなりエレガントに傾斜したドレスメインのブランドだった。コロナ禍で例えばパーティーシーンに着るアイテムは需要がなく当初のコンセプトは変更を余儀なくされたようだ。
その「セルフォード」がなんとブライダルファッション界の生きる伝説とも言うべきでデザイナー桂由美とコラボ商品(ドレス4型、小物3型)を4月21日から発売したという。ビッグニュース扱いでマッシュスタイルラボの親会社であるマッシュホールディングの近藤広幸社長(1975年8月6日生まれ47歳)と桂由美のツーショットを始め、コラボ7点すべてを紹介しているタイアップ顔負けの記事(WWD JAPAN)なども登場している。
マッシュスタイルラボは、ルームウェアブランド「ジェラートピケ(gelato pique)」やニュータイプのキャリア服「スナイデル(SNIDEL)」などでファッション業界に旋風を巻き起こしているが、これも創業者の近藤社長がファッション業界とは一線を画した空間デザイナー&CGアニメデザイナーとしてのキャリアによるユニークな発想があったからだろう。
しかし、今回コラボする桂由美は言ってみればファッションの世界で最も旧態然としたブライダルマーケットで長年にわたって生き残ってきたデザイナーであり、コテコテのエレガンス派と言ってもいい存在なのである。乃木坂に突如現れる白亜の殿堂である桂由美ブライダルハウスは訪日外国人が必ず「あれは何だ?」と尋ねるちょっとした名所になっている。桂由美自身もトレードマークになったターバン姿が有名だ。ある意味では、ブライダルの世界では、いやファッションの世界では最も有名な人物の一人ではある。1932年4月24日生まれだから、来週には91歳である。この90歳の大御所桂由美にまさに教えを乞うがごとく、「セルフォード」が目指していた本来の「パーティーシーンでのエレガントなモード服」のために今回コラボしたのだという。
さすがにこのファッション界の伏魔殿とも呼ぶべき「エレガンスゾーン」では、近藤社長の「新感覚」も通用しなかったということだろうか。今回のコラボがどんな結果になるのか楽しみである。すでに今秋物でのコラボも決定しているというから、よほど惚れ込んだようだ。
それにしても「新感覚」が売り物だけに、近藤社長のデザイナー選びはなかなか独特である。チダコウイチ、故オオスミタケシ、そして今回のユミカツラ。マッシュスタイルラボのブランド名には有名サッカー選手の名前が潜んでいるのは有名な話だが、近藤社長が選ぶ日本人デザイナーはカタカナ名が似合うデザイナーなのか?






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