マスクCEOと前澤・社長は発表と同日に共同で記者会見を開催。会見後は、中国や韓国といったアジア圏の他に、アメリカ、イギリス、オーストラリア、フランス、インド、スペイン、イタリア、ギリシャ、スウェーデンなど世界各国のメディアも会見の様子やプロジェクトについて報じた。中国では約700本、韓国では約100本のニュースが1日で掲載され、米「WWD」紙、英「EveningStandard」紙などメジャーな媒体でも取り上げられていて、世界的に注目を浴びている。
記事では各国の媒体のほとんどがまず前澤氏の人物像や経歴について紹介しており、プロジェクトの詳細の他に、個人の純資産が29億ドル(約3300億円*)で日本有数の実業家であることや、ZOZO関連の情報、熱心なアートコレクターであることなどにも言及していた。「#dearMoon」はあくまでも個人のプロジェクトとしているが、会見の途中で前澤氏がプライベートレーベル「ZOZO(ゾゾ)」のローンチについて触れる場面もあり、会社にとってもBasquiat(バスキア)作品購入に続いて、世界で知名度を拡大する絶好の機会と言っていいだろう。
英「The Evening Standard」
中「china.com」
マスクCEOが「前澤氏の今回のプロジェクトのための投資は、ロケットの開発コストにかなり大きな影響を与えた」と記者会見で発言したことから、今回のプロジェクトにかかるコストについても各国で様々な憶測が飛び交っている。インドの「The Indian EXPRESS」紙によると、Space X社同様に個人旅行用のロケット開発を進めているJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)・Amazon社CEOが設立したBlue Origin(ブルー オリジン)社は、同社の「New Shepard(ニューシェパード)」と呼ばれるロケットでの短期間の宇宙旅行で最低20万〜30万ドル(約2300万〜3400万円*)、俳優のLeonardo DiCaprio(レオナルド・ディカプリオ)やアーティストのJustin Bieber(ジャスティン・ビーバー)らの参加が決まっている、イギリスの実業家Richard Branson(リチャード・ブランソン)氏のVirgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)社の90分間の弾道飛行体験は25万ドル(約2800万円*)かかるという。それらと比較すると、Space X社のFalconロケットはリユース可能で比較的ローコストな機体で業界を揺るがす存在として知られているが、イタリアの「GIORNALE DI SICILIA」紙などいくつかのメディアで「#dearMoon」プロジェクトの準備費用は約5億ドル(約560億円*)と予想されていて、計画の壮大さが伺える。韓国では、マスクCEOが18日の発表前に自身のTwitterで民間人初の月旅行の契約者を日本国旗で表現したことから、一時ソフトバンク社の孫正義(そん まさよし)・取締役会長ではないかと噂されていた。
Elon Musk公式Twitterより
*1ドル=112円換算(9月20日時点)