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Japan|どうなる!?ZOZO包囲網

Jan 28, 2019.久米川一郎Tokyo, JP
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撮影:YASUNARI KIKUMA

一昨年から昨年あたりにかけて、ファッション&アパレル企業のトップたちがeコマース責任者と交わしている対話は、こんな感じだったのではないか。「今、ウチの自社サイト売り上げ比率はどれくらいなの?」「20%程度かと思います」「ゾゾ(ZOZO)は?」「70%程度かと」「なんとかならないの?3年以内に50:50になるようにしなさいよ」「は、はい。努力してみます」「努力じゃ困るのよ。そもそもゾゾにはどれくらい取られるの?」「(売り上げの)30%前後かと」「それ以外にもページ作るのにいろいろ取られてるんでしょ?」「はい」「下手すると40%近いんじゃないの。都心の百貨店と同じじゃないの。バーゲンは多いし、全然儲かってないでしょ?」「は、はい」「じゃ、3年以内に50:50!いいね?」「は、はい」。

とにかく、遅ればせながら、eコマース戦略強化に必死のファッション&アパレル企業のトップは「ゾゾばっかり儲かっている」とその実情を嘆いている。しかし「ゾゾの壁」は厚い。手数料が高くてもバーゲンばかりやっていても、貧相な自社サイトではオールスターキャストの「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」には太刀打ちできないのは明らか。切歯扼腕していたのだが、その一方でゾゾの前澤友作・社長は、62億円とか124億円するバスキアの絵を買ったり、剛力彩芽との恋愛騒ぎとか、月旅行プロジェクトだとかやりたい放題。こういう破天荒な人物が出てくるのはファッションの世界では大歓迎ではあるのだが、そんなことより問題はゾゾでは売れてもちっとも儲からないこと。

そこに昨年末登場したのが、ゾゾの新有料会員サービス「ARIGATO」サービス。簡単に記すと、会員は商品購入額の10%をゾゾ負担で割引し、購入者はその割引額の一部または全額をゾゾが指定する団体への寄付、購入ショップやブランドへの全額還元など、使い方を選択できるというもの。この有料サービスが、ゾゾと出品者の間の新たな火種になりつつある。この「ARIGATO」サービスが引き金と思われるが、昨年末に「ZOZOTOWN」から全面撤退を表明したオンワード樫山。さらに子供服のミキハウス、アクセサリー企業の4℃ホールディングスも出品を停止あるいは停止表明しており、今後もこの「ARIGATO」サービスを契機に、出品停止する企業・ブランドが出てきそうなムードだ。「定価販売が基本なのに、ゾゾ負担とはいえ10%値引きされるのでは、一種の二重価格になり商品価値が毀損される」というのがゾゾ離脱派の主張だ。また事前通告が急すぎて「前澤社長の独断の嫌いがある」との声もある。

いずれにしても、これはeコマースをめぐる一大事に進展しそうではある。ゾゾ派とアンチゾゾ派による「ARIGATO」の陣ということになるが、どんな結果になるのか注視したい。

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