
プラダ・グループ(PRADA GROUP)の決算は、グローバル市場では好調だったが、日本市場の異変が際立つ内容だった。「プラダ(PRADA)」や「ミュウ ミュウ(miu miu)」などを展開するイタリアのプラダ・グループは7月30日、2025年12月期の上半期決算を発表した。売上高は27億4000万ユーロ(約4685億円*、前年同期比9%増)と好調で、上半期純利益は3億8600万ユーロ(約660億円)と前年並みを維持した。
ブランド別では、主力の「プラダ」の売上高が前年同期比2%減の16億4700万ユーロ(約2816億円)とやや減速している。一方で、Z世代やミレニアル層を中心に再評価が進む「ミュウミュウ」が49%増となる7億8000万ユーロ(約1333億円)と前期からの勢いを継続している。「ミュウミュウ」はグループ売上の32%を占めており、中核ブランドとしての存在感を高めている。
地域別での売上高は、中東が1億3700万ユーロ(約234億円)で前年同期比26%増と圧倒的な成長を見せ、アジア太平洋地域は8億3800万ユーロ(約1432億円、10%増)、米国は4億2400万ユーロ(約725億円、12%増)と2桁成長だった。インバウンド需要の回復やローカル富裕層による消費の底堅さが業績を後押ししている。欧州は前年同期比9%増の7億2800万ユーロ(約1244億円)だった。
一方、日本市場の成長は鈍化している。売上高は4%増の3億2600万ユーロ(約557億円)にとどまり、他地域に比べて成長率は半分以下に落ち込んでいる。観光需要が復調傾向にある中でも、国内の高級消費は踊り場を迎えている可能性がある。背景には、円安による価格上昇や物価高、消費マインドの慎重化などが挙げられる。また、インバウンド消費に依存した前期と異なり、今回はリピーター観光客による買い控え傾向も影響しているとみられる。
グローバルでは成長を見せるプラダ・グループだが、日本のラグジュアリー市場は厳しさが増しており、グローバルブランドにとってローカライズ戦略の重要性が改めて浮き彫りになっている。
*1ユーロ=171円換算(7月31日時点)