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コロナ収束でLVMHがとんでもない買収に動き出しているぞ!

Mar 8, 2023.三浦彰Tokyo,JP
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©︎Cartier

最近LVMH(モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン)の買収に関する報道が2つあった。

ひとつは、LVMH本体ではないが、LVMHの投資会社L キャタルトン(L Catterton)による「A.P.C.(アー・ペー・セー)」の株式過半数の取得だ(既報)。

1989年にコンシューマー業界特化のプライベートイクイティファンド(未上場企業を対象にした投資ファンド)の「キャタルトン」が設立。2001年にLVMHグループとグループ・アルノーがLキャピタルを設立。2016年にキャタルトンとL キャピタルが合弁し、L キャタルトンが設立されている。ファッション&レザーグッズの分野なら基本的に「ラグジュリーブランド」を手掛けるというのがLVMHの基本的方針である。50年以上の歴史があって、これを支えるアーカイブなどのヘリテージがあって、クリエイティブ・ディレクターによってこれが時代にフィットさせ、クラフトマンシップをベースにしブランドの創始した地域において製造されるのが彼らの考えるラグジュアリーブランドだ。

LVMHと違ってL キャタルトンは広範な投資を行なっている。たとえば日本では「GINZA SIX」に森ビル、住友商事、大丸松坂屋などとともに出資している。ファッションのブランドについてもラグジュアリーブランドにこだわることもなく、デザイナーが現存しているデザイナーブランドにも出資している。これまでにリアーナ(Rihana)が手掛ける「Savage × Frenty」「ビルケンシュトック(BIRKENSTOCK)」「エトロ(ETRO)」「ガニー(GANNI)」などのファッションブランドに出資している。今回の「A.P.C.」もデザイナーブランドと呼んでいい存在だ。1987年にジャン・トゥイトゥ(Jean Touitou)がパリで設立。「A.P.C」とは「Atelier de Production et des Creation」の略だ。ジャンは現在も妻のジュディットとともにブランドを手掛けている。L キャタルトンによる買収後、ジャンとジュディットは少数株主としてブランドに従事する。仏メディアによれば、その年商は1億ユーロ(約140億円。1ユーロ=140円換算。フランス国外売上高が80%)、直営店舗約100店、従業員数約300人、今後の発展を理由に2022年11月に創業者夫妻は売却の意思をL キャタルトンに伝えていたという。

日本では、JUNグループが長らく手掛け、1990年代にはフレンチカジュアルの大波に乗って人気化したこともあるが、2015年からはルックホールディングスに販売元が代わり現在に至っている。今回のL キャタルトンの買収でA.P.C.ジャパン設立などの動きがでてきそうで、販売元が替わる可能性もありそうだ。

LVMHの買収をめぐるもうひとつのニュースは、「え、そんなことあるのか?」というような仰天ニュースだ。

スイスの「Finaz and Wirtshaft (金融と経済)」紙の報道だが、LVMHの競合のリシュモン(Richemont)の買収を狙っているというのだ。それが難しいならLVMHはコロナ禍中の2021年に買収した「ティファニー(Tiffany&Co)」を補完するために、リシュモンの最大のブランドである「カルティエ(Cartier)」の買収を目論んでいるというのだ。この記事によると「カルティエ」の支配権を持つルパート家のヨハン・ルパートがこのLVMHの買収意向を快く思っておらず、抵抗するだろうと見られている。ただし、LVMHの2022年の売上高は830億ドル(約11兆、1ドル=130円換算)であるのに対し、リシュモンは220億ドル(約2兆9260億円)であり、ほぼ4倍のスケールの差があり、呑み込まれても不思議はないと見る向きもある。LVMH、ケリング、リシュモンという巨大コングロマリット3強時代と言われたが、コロナ禍の3年間ですでにLVMHの1強時代に入ったということを再確認させる様な今回のリシュモン買収話だが、噂にすぎないとも言えなくなっている。「ブルガリ」「ティファニー」買収でジュエリービジネスの旨味をLVMHは知ってしまったのかもしれない。

2022年12月期のLVMHの決算におけるカテゴリー別の売上高で、「ルイ・ヴィトン」「ディオール」「フェンディ」「セリーヌ」などを擁するファッション&レザーグッズ部門は前年比+25.0%の386億4800万ユーロ(約5兆4107億2000万円)。中心的存在の「ルイ・ヴィトン」は年間売り上げ200億ユーロ(約2兆8000億円)を突破し、ラグジュアリーブランド業界の王者であることを示したが、この数字は、中国市場の今後にかかっているが、限界的な規模だと言えなくもないのだ。

LVMHによるラグジュアリーブランドの再編はあるのだろうか。LVMHがリシュモンを狙っているとすれば、これはラグジュアリーの最終戦争第1章になる可能性がある。

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