
島精機製作所は5月9日、2025年3月期の通期連結決算を発表した。売上高は325億2000万円(前年比9.4%減)、営業利益は119億1400万円の赤字(前年は4億3000万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は142億7500万円の赤字(同10億3000万円)だった。
主軸であるホールガーメント横編機などの横編機事業が減速傾向で、主要マーケットの中国市場、イタリア市場、トルコ市場で売上高が減少している。特にバングラデシュでは大手顧客からの大口発注を見込んでいたが、政変混乱によって設備投資時期が未定となり、受注を逃した。大規模な反政府デモも影響して、生産工場が操業を停止したためサプライチェーンが停滞した。一方で、手袋靴下編機事業は、海外の取引先の設備投資が伸長し、売上高は前年比69.2%増となる28億1700万円を計上した。
島精機製作所は、第4四半期に投資有価証券評価損として4億3900万円を特別損失として計上しており、第3四半期にも棚卸資産評価損として17億3700万円を計上。さらに、一部の取引先からの債権回収状況が悪化したため貸倒引当金繰入額として43億6100万円を計上、為替差損として5億8500万円、固定資産に対する減損損失として12億4700万円を計上していた。
こうした中、島精機製作所は役員報酬の減額を継続することを発表している。2024年10月から減額を実施しているが、対象期間を今年9月まで継続する。島三博社長は月額の30%を減額、取締役常務執行役員の大谷明広氏、北川尚作氏は20%を減額、常務執行役員は15%、執行役員は10%を減額する。
島精機製作所の2026年3月期の連結業績予想は、売上高は445億円(前年比36.8%増)、営業利益は15億円(前年は119億1400万円の赤字)、親会社株主に帰属する当期純利益は20億円(同142億7500万円の赤字)を見込む。
島精機製作所は5月9日に取締役会を開催し、15億円を上限に自己株式を取得することを決定した。100万株を上限に取得し、取得期間は5月12日から9月30日まで。自己株式を除く発行済株式総数に対する割合は2.90%。また、株主優待制度を見直し、優待内容の充実を図る。