
「コーチ(COACH)」を擁する米国のタペストリー(Tapestry, Inc.)の株価が、2025年に大きく跳ね上がった。2025年1月2日の終値で65.63ドル(約1万369円*)だった株価は、12月31日には127.77ドル(約2万187円)まで上昇。上昇率は94.7%と、ほぼ2倍に達した。市場では、主力ブランド「コーチ」の力強い成長が株価上昇を支えたとの見方が強い。
「コーチ」は今期、売上高が二桁成長を記録し、タペストリーは業績予想を上方修正するなど、グループ全体の業績を牽引した。加えて、粗利率や営業利益率も改善し、単なる売上拡大にとどまらない「収益の質」の向上を実現した点が、投資家から高く評価されたようだ。
ブランド力の強化も奏功した。2025年9月にはグローバルアンバサダーとして幾田りらを起用。音楽活動を通じて世界的に支持を集める幾田りらの存在は、「コーチ」のグローバルイメージを若い世代へと拡張する役割を果たした。SNSを中心とした発信力の強化は、ブランド認知と好感度の向上に寄与したとみられる。
商品面では、アイコンバッグ「タビー(Tabby)」がZ世代を中心に大ヒット。コンパクトながら存在感のあるデザインと、手に取りやすい価格帯が支持を集め、売上を大きく伸ばした。「ブルックリン(Brooklyn)」などの新定番モデルも好調で、「コーチ」は選ばれるブランドとしての地位を再確立しつつある。
国内展開も強化された。大阪・心斎橋には体験型コンセプトストア「コーチ プレイ 大阪」をオープン。さらに12月には東京・銀座の旗艦店「コーチ 銀座」を改装し、リニューアルオープンした。商品を販売するだけでなく、ブランドの世界観や価値観を体験として伝える場づくりは、来店動機やファン化を促進している。「コーチ 銀座」のオープニングイベントには幾田りらをはじめ、Kōki,、中島健人らが来場し、花を添えた。
「コーチ」ブランドを語る上で欠かせないのが、「手が届きやすいラグジュアリー」というポジションだ。高級ブランドより価格帯を抑えながらも、品質やデザイン、クラフトマンシップへの投資を惜しまない。このバランス感覚が、価格にシビアなZ世代やミレニアル世代に強く響いている。上質なレザーを用いた製品づくりや、長く使える設計は、ブランド資産としての信頼を支えている。
また、90年代に登場したクラシックモデルの再評価も進む。ヴィンテージ感のあるデザインは、若年層にとっては新鮮に映り、「時代を超えた魅力」を持つアイテムとして支持を集めている。ノスタルジーと現代性を巧みに融合させた点も、リバイバル人気の要因だ。
サステナビリティへの取り組みも、ブランド評価を底上げしている。循環型ものづくりをテーマにした「コーチトピア(Coachtopia)」では、廃棄される素材を再利用し、新たな製品へと生まれ変わらせる試みを展開。「タビー」や「ブルックリン」の製造過程で生まれたレザーを再構築したアイテムも登場し、環境意識の高い消費者から受け入れられている。
業績、ブランド、商品、体験、そして価値観。アンバサダーの活躍も含め、そのすべてがかみ合った結果が、2025年の株価急騰につながったと言えるだろう。2026年も「コーチ」の快進撃は続くとみられ、タペストリーの動向から目が離せない。
*1ドル=158円換算(1月3日時点)










![[[name]]](/assets/img/common/sp.png)