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Japan|2代目、3代目社長受難の時代

Apr 16, 2019.久米川一郎Tokyo, JP
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大塚家具、デサントと、創業家の2代目社長、3代目社長の受難がこのところ続いている。大塚家具では、2014〜2015年に父親の大塚勝久・前社長と娘の大塚久美子・現社長が経営の主導権を巡り対立し、株主の委任状を奪い合うプロキシーファイトに発展。結局、娘の久美子氏が社長となり勝久氏は長男の勝之氏とともに大塚家具を去り、匠大塚を設立。しかしこのゴタゴタを機に業績は急激に悪化。やはりキレ者の娘より経験のある親父という結論に傾きつつある。

デサントでは、創業者の石本他家男氏の孫にあたる石本雅敏・社長が、大株主の伊藤忠商事に相談もなくワコールホールディングスと業務提携したことに端を発し、伊藤忠との対立が激化。伊藤忠のTOB(株式公開買い付け)に発展した。伊藤忠は、会社売り上げのほぼ40%にあたる「アディダス(adidas)」の売り上げを日本法人アディダスジャパン(adidas Japan)に持っていかれて経営危機に陥っていたデサントを、社長派遣するなど救った大株主である。石本雅敏・社長誕生も、伊藤忠商事の既定路線とは異なるものだったというから、積もり積もった行き違いがあったのかもしれない。結局、最終的な決定権は、保有株の多寡であることを知らしめた今回のTOBということになりそうだ。

あまりにも厳しい商況が続いているが、もう2代目、3代目という創業家のオーラだけではどうにもならない時代になっているということだろう。

最近、ファッション業界を驚かせたのが、銀座の老舗セレクトショップとして有名なサンモトヤマの全株式を、長野県上伊那郡箕輪町に本社を置く旅行業・バス会社のトラビスジャパンの小林道明・社長が取得したことだ。銀座の老舗セレクトショップと長野のバス会社社長にどういう接点があるのかは知らないが、なんとも不思議な取り合わせだ。取得価格はハッキリ言って気持ちばかりの金額だろう。代わりに負債を肩代わりし、運転資金を提供するというような提携ではないかと推測される。そこまで追い詰められていたのだろうか。こちらも一昨年12月15日に逝去した創業者の茂登山長市郎を継いだ2代目の茂登山貴一郎氏が今回の再生の設計図を書いたのだろう。貴一郎氏は、昨年6月に代表取締役社長の座を卜部正壽氏に譲り、代表取締役会長になっていたが、今回全株取得の小林道明氏にその座を譲り、取締役ではない相談役(クリエイティブ・アドバイザー)に就いている。小林氏との資本業務提携が実を結ぶことを祈りたいものだ。

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