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「H&M」銀座並木通り店は初の「鬼門」突破なるか?

May 19, 2023.三浦彰Tokyo,JP
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撮影:セブツー編集部

「H&M」が銀座に戻ってきたということなのだろうか?5月11日に銀座並木通りにスウェーデンのファストファッションブランド「H&M」のブティックがオープンした(既報)。

しかし、どうも従来の「H&M」とは様相が異なっており、落ち着いた雰囲気の店舗で、狙っているのも10代後半〜20代という従来のターゲットではない。30代〜50代を狙っているのではないかという感じがするのだ。そもそも銀座並木通りといってもこの「H&M」のある銀座2丁目というのは、晴海通りの北側にある並木通りであり、言わば南側の「表」並木通りとは対照的な「裏」並木通りと呼んでいいような存在だ。店の正面が街路樹に隠れて見えないくらいだから、落ち着いている感じというのも肯けるが、もともとはサザビーリーグのセレクトショップ「エストネーション」があった場所だ。「エストネーション」はファッション上級者に愛されたセレクトショップだ。周りの「ABCマート」や「ロフト」はすでにファンが固定している店。「H&M」が本来狙っているのは、ファッション大好きの10代、20代の女性たちであり、こういう若い女子たちが着ることで映える洋服である。30代はともかく、40〜50代の女性向きにデザインされているとは思えないのだ。

こうした年代をターゲットにしようという「H&M」の新機軸なのか。それを世界一のスピードで高齢化が進む日本で実践しようということなのだろうか。しかし、H&Mジャパンのアネタ・ポクシンスカ社長の談話にはそうした内容は一切ない。2008年9月13日にオープンした銀座中央通りの「H&M」日本第1号店は、2018年7月に閉店した。当然赤字店舗だから閉店したわけで、今回の裏「並木通り」なら家賃は中央通りほどではないだろうが、売り上げは当然それには及ばないだろう。

その間H&Mジャパンは「コス(COS)」ブランドの日本撤退を決めている。その最後の店である「コス」銀座店は、マロニエ通りに2016年3月にオープンしていたが、今年2月12日にひっそりと閉店している。「H&M」よりも高価格帯で高品質な英国ロンドン発のブランドである「COS」は「H&M」よりも銀座向きのブランドであると思われたがあえなく閉店。どうもH&M社にとって、銀座は「鬼門」であるようだ。今回の「H&M」並木通り店も上述したように今ひとつ狙いがピンとこない。テイクアウトできるコーヒーのコーヒー豆が国際フェアトレード認証と有機JAS認証を得ているとかがやたら強調されているのだが、これは瑣末なことだろう。今回の「H&M」並木通り店が、この「鬼門」である銀座で初の成功店舗になるのかということになると実に心もとないのだ。

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