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旗艦店戦略の「カルバン・クライン」、ブラピ主演の『F1』の「トミー・ヒルフィガー」が好調 PVHの第2四半期は最終利益が41%増

NEWAug 27, 2025.高村 学Tokyo, JP
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ミンギュ(MINGYU)を起用した2025年秋の「カルバン・クライン」新デニムキャンペーン

「トミー・ヒルフィガー(Tommy Hilfiger)」や「カルバン・クライン(Calvin Klein)」を展開する米PVHコープ(PVH Corp.)は8月26日、2026年1月期の第2四半期決算を発表した。売上高は21億6720万ドル(約3185億円、前年同期比4%増)、当期純利益は2億2420万ドル(約329億円、同41.8%増)と大幅な増益となった。

主力ブランド「トミー・ヒルフィガー」の売上高は11億3590万ドル(約1669億円、同4%増)だった。特に、俳優ブラッド・ピットが出演する映画『F1/エフワン』とのグローバルキャンペーンが話題を呼び、売上の押し上げに寄与した。ファッションと映画の融合によるマーケティング戦略が功を奏した形だ。

「カルバン・クライン」の売上高は9億8000万ドル(約1440億円、同5%増)。アンダーウェアとデニムの販売が引き続き好調で、安定した収益源となっている。「カルバン・クライン」は店舗戦略でも積極的だ。2024年6月にパリでグローバル旗艦店をオープンし、8月末にはアジア初の旗艦店を東京・原宿に開業。さらに今後はニューヨーク・ソーホー地区にも新旗艦店を構える予定で、グローバル規模でのブランド再成長に弾みをつけている。

地域別では、欧州・中東・アフリカ(EMEA)が前年同期比3%増の10億4850万ドル(約1541億円)と堅調だった。米国市場も同11%増の6億8400万ドル(約1005億円)と二桁成長を達成。ブランド力の強さが本国市場でも鮮明になった。
一方でアジア太平洋地域は卸売部門の落ち込みが響き、前年同期比1%減の3億3520万ドル(約492億円)にとどまった。特に中国市場では厳しい消費環境が続くものの、大幅な減収は免れた格好で、健闘といえる。

今回の決算で際立ったのは、ブランド価値を活かしたマーケティングの成果だ。「トミー・ヒルフィガー」はポップカルチャーや映画との連動で若年層へのリーチを拡大し、「カルバン・クライン」は定番アイテムの強さを旗艦店戦略でさらに補強している。特に旗艦店の拡大は、体験型の購買スタイルを求める消費者トレンドとも合致。原宿やソーホーといったトレンド発信地での出店は、ブランド認知の強化とグローバル市場の成長に直結するとみられる。

世界的に消費環境が不透明ななか、旗艦店を軸にしたブランド強化とセレブリティを活用したマーケティングが、今後の成長ドライバーとなるか注目される。

*1ドル=147円換算(8月26日時点)

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