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「羅針の針」は動き出しても株価は止まったまま?ヨンドシーHDの株価1700円台は過小評価か【いづも巳之助の一株コラム】

NEWOct 15, 2025.いづも巳之助Tokyo, JP
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ヨンドシーホールディングスの2026年2月期の中間期決算は、売上高324億円(+66.9%)、営業利益11億円(+34.6%)で着地。

■羅針が変えた収益の質
今回の決算で、最大のサプライズは「羅針」の貢献度だ。2024年に子会社化された高級時計リユース事業が、ブランド事業の成長を押し上げた。売上高は198億円(+176.9%)、営業利益は8億9300万円(+133.5%)、時計という回転率の高い商材を取り込んだことで、グループ全体の利益体質を一段引き上げた。

月次でもその勢いは続いている。9月の羅針は全店売上+148.5%、既存店+129.5%。円安で国内の高額時計需要が戻り、買取・販売の両面で好調が続く。売上構成の6割を占めるブランド事業の中で、羅針が牽引役として機能しているな。

■投資型ジュエリーの兆し
「羅針」の新宿店では、「ロレックス」や「オメガ」の販売に加え、純金やプラチナの地金を使ったジュエリーを「価値保存型アイテム」として提案している。これは単なる装飾品ではなく、金利や為替に左右されにくい資産保有の選択肢として富裕層に浸透し始めた領域だ。時計からジュエリーへ、ジュエリーから資産へと、ヨンドシーHDはその橋渡しを担うのかな。

■ブランドの広がりと新しい循環
「4℃」本体もブライダル偏重から、日常的に楽しむパーソナルジュエリーへ軸を移している。「自分らしさを纏う」ジュエリーを掲げ、客単価を上げながら固定客を増やしている。「羅針」を傘下に収めたことで、ヨンドシーHDは「新品からリユースまで」を一気通貫で扱う守備範囲を担う企業に変わりつつあるんだ。

そしてアパレル事業「パレット」も着実に伸びた。売上高126億円(+2.7%)、営業利益7億9,000万円(+12.3%)。海外生産と出店効果が支え、全社的な増収増益を下支えした。

■市場が見落とす?「羅針効果」
株価は羅針の子会社化発表(2024年10月11日)直後に1,885円まで上昇したが、現在は1,713円(10月10日終値)と9%下落。業績は大幅増益にもかかわらず、株価はまるで反応していない。PBRは0.9倍台、配当利回り4.8%。DOE4%を掲げ、年間配当83円を維持する企業としては、明らかに過小評価の水準だ。

のれん償却前EPSは132円。PER15倍なら1,980円、業界平均18倍を当てはめれば2,200円台が理論値となる。羅針の収益寄与が通期で定着すれば、株価は静かにその針を動かすはずだけどな。

■投資判断は?
通期業績見通しは据え置きだが、利益進捗率は上期ですでに40%を超えた。自己資本比率は57.7%、有利子負債依存度も低い。財務の安定感は高く、今後の出店投資にも余力がある。

次の決算で羅針が2期連続で営業増益を確定させれば、市場は一気に「時計×ジュエリー企業」への再評価を始めるだろう。1年前に買収した羅針の成長分は、まだ数字の奥に眠っているぞ。

巳之助は「静かな評価」と「遅れて動く株」で少し迷うけど。

プロフィール:いづも巳之助
プライム上場企業元役員として、マーケ、デジタル事業、株式担当などを歴任。現在は、中小企業の営業部門取締役。15年前からムリをしない、のんびりとした分散投資を手がけ、保有株式30銘柄で、評価額約1億円。主に生活関連の流通株を得意とする。たまに神社仏閣への祈祷、占い、風水など神頼み!の方法で、保有株高騰を願うフツー感覚の個人投資家。

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