第1四半期は安定の増収増益で、営業利益率も20%台を維持した。だが投資家が注目すべき点は二つある。
①4月に買収した英国発「LYST」。5月から連結対象となり、わずか2カ月で売上10.2億円、取扱高75.6億円を記録した。ZOZO取扱高ベースで約4.7%に当たり、すでに本体を押し上げる成長ドライバーとなっている。
②今回のChatGPT全社導入だ。推定5億円(2025年3月末時点でのグループ全体の従業員数1738人に、年間利用料200ドルを掛け合わせた金額)の年間コストは、年間純利益(約370億円)の1.3%にあたる。これは軽視できない負担だな。
▷ChatGPTは、ZOZOでどんな風に使われるのか?
AI全社導入といえば華やかに聞こえるが、実際には課題だらけだ。第一に「コスト負担」。販管費を押し上げ、利益を圧迫する。第二に「システム適合」。議事録や報告書の効率化はできても、物流やブランド契約のような実務のコア領域にはなかなか直結しない。第三に「組織文化」。AIを「武器」として使える社員はどのくらいいるのか?この三つを乗り越え、事業に噛み合わせられるかどうかが勝負になる。
ZOZOで気になるのは、例えば「LYST」とChatGPTの接点だ。「LYST」の商品データやレビューをAIが翻訳・要約すれば、検索精度や顧客体験が改善する。越境ECの不安要因である「言語」「配送」「価格不透明」を、AIの自然言語処理で解消できれば、LYSTの成長はさらに加速するだろう。
そうなると「日本から買う」「欧州から仕入れる」といった越境ECが、「国境の壁を意識しない買い物」に変わるかもしれない。これは凄いよ!
逆に、もしChatGPTが社内で「議事録まとめ」や「社内文書作り」だけで終わるなら、「LYST」への事業貢献はない。年5億円は単なる浪費になる。株主にとって重要なのは「どの部署で、どんな成果を出したか」の開示だ。
▷投資判断としてはどう考える?
配当利回り2.6%、PER約11倍と株価1,400円前半は割安水準。ただし、株価を一段押し上げるには「ChatGPTがLYSTや本業にどう組み込まれるか」という実例が必要。成果開示までは監視しながら拾う戦略が妥当だ。
巳之助は「年間利益の1.3%を食うコスト」か、「事業と組み合わせて次の成長を生む投資か?」で少し迷うけど。AI導入は「答えではなく問い」。株主は「成果の実例」を待つしかない。
NISA Bros.よ、どう考える?
▶巳之助メーター 2ニョロ 監視だ
(1ニョロ=素通り 2ニョロ=監視 3ニョロ=今だ!)
株価は割安。AIはサブ要素、今は本業の数字を注視しながら「監視」が妥当かなと。
■プロフィール:いづも巳之助
プライム上場企業元役員として、マーケ、デジタル事業、株式担当などを歴任。現在は、中小企業の営業部門取締役。15年前からムリをしない、のんびりとした分散投資を手がけ、保有株式30銘柄で、評価額約1億円。主に生活関連の流通株を得意とする。たまに神社仏閣への祈祷、占い、風水など神頼み!の方法で、保有株高騰を願うフツー感覚の個人投資家。