「VOGUE」や「GQ」といった雑誌を発行する米国のコンデナスト(Condé Nast)社は8月20日、オープンAI(Open AI)社と複数年にわたるパートナーシップを締結したと発表した。オープンAIは、対話型AIである「チャットGPT(Chat GPT)」を開発・提供する米国企業で、マイクロソフトが投資していることでも知られている。
コンデナストは、「VANITY FAIR(ヴァニティ・フェア)」や「WIRED(ワイアード)」「TATLER(タトラー)」といったメディアをグローバルに展開しており、特にファッション業界でもっとも影響力があるとされているファッション雑誌「VOGUE」は同社の看板雑誌だ。
今回、オープンAIとの提携により、コンデナストが所有するコンテンツが「チャットGPT」に利用される。コンデナストは契約内容の詳細を明らかにしていないが、「チャットGPT」のサービス内でコンテンツを利用した対価をオープンAIから受け取るとみられる。
「チャットGPT」を巡っては、オープンAIが報道機関の記事を「タダ乗り」で使用しているとの批判の声もあがっている。米国の新聞大手の「The New York Times(ニューヨーク・タイムズ)」は、オープンAIと、検索エンジン「Bing」において「チャットGPT」の技術を活用しているマイクロソフトを著作権侵害で米連邦地裁に提訴している。「The New York Times」の主張によると、「チャットGPT」によって数十億ドル(数千億円)にのぼる損害が発生しているという。
また、イーロン・マスク(Elon Musk)を始めとするIT業界の経営者が、「社会や人類に対する深刻なリスクになる」「チャットGPTを止めろ!」「制御不可能だ」と叫んでいるのも注目されている。
コンデナストのCEOのロジャー・リンチ(Roger Lynch)は、今回の提携に際して「人工知能を開発、展開するすべての組織が、オープンAIのように出版社の権利を真剣に受け止めるまで、業界全体で公正な取引とパートナーシップを求める戦いを続けるつもりだ」と表明している。