徳間書店は7月28日、業務委託していた編集者が個人のSNSアカウントでテニスの大坂なおみ選手に対して人権侵害を伴う誹謗中傷を行なっていたとして、当該編集者との契約を解除したと発表した。徳間書店は、『週間アサヒ芸能』やスタジオジブリの書籍などエンタテインメント分野に強い出版社として知られており、デジタルガジェットや車、時計などのモノを紹介するウェブメディア『&GP』にて当該編集者に業務を委託していた。この編集者は、7月27日の東京五輪のテニス女子シングルスにおいて大坂なおみ選手が3回戦で敗退したことを受け、ツイッターの個人アカウントで容姿の中傷や人種差別的な内容を含む不適切な投稿を行なった。これに対し、ネット上で批判の声が相次ぎ、大きな騒動となった。アカウントはすでに削除されている。徳間書店は28日「重要なお知らせ」と題した謝罪文を公式サイトにアップし、この編集者との契約を解除したと発表した。また「これは株式会社徳間書店ならびに&GP編集部の見解とは全く相容れるものではなく、いかなる場合においても人権侵害はあってはならないことです」との声明文を発表している。
このように、SNS上での編集者による不適切な発言が問題となるケースが他にも起きている。7月26日には『月刊ホビージャパン』の編集者が「転売ヤー」擁護の発言をツイッター上で行い、退職処分が下されている。上司3名も降格処分を受けている。事の発端は、SNS上で話題になっていた「転売問題」に対して、模型雑誌として知られる『月刊ホビージャパン』の編集者が「転売ヤー」を容認するような発言をして、ネット上で批判の声が相次ぎ、炎上した。この編集者はSNSのプロフィールにホビージャパン社の社員であることを明記していた。これを受けて同社は翌日25日、公式サイトで謝罪文を発表し、問題発言をした編集者に退職処分、その上司にも降格処分を下した。この厳しい処分に対して、今度は「ホビージャパンの対応は不当解雇に当たるのではないか」という声も一部で上がっている。「転売ヤー」擁護の発言は非難されるべきだが、それに対しての重すぎる処分も非難されるというわけだ。
相次ぐ編集者の不祥事。東京オリンピックでも、過去の発言が原因でトラブルが起きた人は少なくない。ネット上に自分の発言が保存され、どんどん広まっていく現在、個人のアカウントで匿名で発信する内容にも責任が伴う。ましてや公で情報を発信する立場にある編集者たちのネットリテラシーは、今後も問題になりそうだ。