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月を見るとispaceを思い出す 32億円契約で動き出した「宇宙市場」と「民間の月輸送業」【いづも巳之助の一株コラム】

NEWOct 7, 2025.いづも巳之助Tokyo, JP
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ispaceはまだ赤字の会社だが、少しずつ形が見えてきた。2025年5月の決算では売上高47億円(+31%)、営業損失97億円。それでも研究開発費を削らず、挑戦を止めていない。2026年3月期は売上高62億円を見込み、赤字を抑えながら成長投資を続ける。Mission1、Mission2で失敗も経験した。だが、その軌跡の先に、ようやく「商業契約でやっていける会社」への道が見えてきた。

◾️主力事業はペイロードサービス
ispaceの稼ぎ頭は「ペイロードサービス」だ。企業や研究機関が作った装置をロケットや着陸機に積み込み、月まで運ぶ。打上げ前の調整から、着陸後のデータ通信や実験支援までを一括で請け負う、いわば宇宙版の物流業。今回のIRで発表された契約は、欧州子会社が米Magna Petra社と結んだものだ。このモデルを軸に、政府・大学・民間企業との商業契約がじわり広がっている。

◾️Magna Petra社との契約の意味
Magna Petraは、月に眠る「ヘリウム3」という資源を観測・採掘し、将来的には地球へ持ち帰る構想を描く米国企業。その観測装置をispaceの着陸機に載せて月まで運ぶ──それが今回の契約だ。契約金額は約32億円(2200万ドル)。Mission3で搭載される予定である。

この契約が注目されるのは、ispaceが欧州経由で初めて民間企業から正式受注を取ったことにある。ルクセンブルク政府の宇宙開発支援プログラムを足がかりに、現地で10カ月交渉を重ねた末に結実した案件だ。これまで日本や米国では官公庁の案件が中心だったが、今回の契約で「欧州ルート」からの商業受注が生まれたんだ。

◾️資本と技術の両輪がそろった
10月6日、ispaceは新たに2社の日本企業から相次いで出資を受けた。高砂熱学工業から約30億円、栗田工業から約20億円。いずれも第三者割当増資によるものだ。両社はこれまでもHAKUTO-R計画で協力してきた技術パートナーであり、資金だけでなく、月面での「水と熱」の技術を持ち込む心強い存在となる。

高砂熱学は、月面の氷を水素と酸素に分解する「水の電気分解装置」を開発し、Mission2のランダーに搭載して実験を行った。栗田工業は、国際宇宙ステーションで使われる水再生システムを民間として初めて手がけた企業だ。その経験を生かし、今後は月面での水循環や再利用技術をispaceと共同開発していくという。

この増資によってispaceは、2027年打上げ予定のMission3、2028年予定のMission4に必要な開発資金を確保。同時に、水処理・熱制御という生命維持技術を取り込むことで、「月で生きるためのインフラづくり」に踏み出した形だ。袴田CEOは「水と熱は月面経済の基礎技術」とコメントしており、この提携は単なる資金調達ではなく、「月の生活圏を現実にするための布石」と受け止められている。

◾️今後の上昇シナリオ
目先のカギはMission2の再挑戦計画。2025年6月のミッションでは月面到達目前で通信が途絶した。今は原因を洗い出し、改良スケジュールを立てている段階だ。年末から春にかけて正式な再挑戦発表が出れば、株価は500円→700円前後の反発が見込める。

中期ではMission3の打上げ準備が焦点になる。Magna Petraとの32億円契約が現実に動き出し、機体への搭載や試験運用が始まれば、「商業化フェーズ入り」として再評価されるだろう。そのときの想定株価は1,000円台。いよいよ倍返しの絵が描ける。

▷巳之助メーター 2ニョロ 監視  →  冬に 3ニョロ 今こそ昇格見込み
(1ニョロ=素通り 2ニョロ=監視 3ニョロ=今だ!)
買いレンジは480〜540円、目標株価は春に700円台
月を見上げたとき、この会社の挑戦を少しだけ思い出してほしい

プロフィール:いづも巳之助
プライム上場企業元役員として、マーケ、デジタル事業、株式担当などを歴任。現在は、中小企業の営業部門取締役。15年前からムリをしない、のんびりとした分散投資を手がけ、保有株式30銘柄で、評価額約1億円。主に生活関連の流通株を得意とする。たまに神社仏閣への祈祷、占い、風水など神頼み!の方法で、保有株高騰を願うフツー感覚の個人投資家。

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