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株式分割で最低投資額は約11万円 「株価も驚安」の「ドン・キホーテ」が16年連続の過去最高益を目指す

NEWAug 22, 2025.高村 学Tokyo, JP
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撮影:セブツー

ディスカウントストア「ドン・キホーテ(Don Quijote)」を展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)は8月18日、2025年6月期の通期連結決算を発表した。売上高は2兆2467億5800万円(前年比7.2%増)、営業利益は1622億9600万円(同15.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は905億1200万円(同2.0%増)と、国内・海外ともに好調で増収増益となった。グループ全体で売上高2兆円を大きく上回り、成長を持続している。

国内では「ドン・キホーテ」「ユニー」「長崎屋」を中心に展開し、売上高は1兆8961億円(前年比7.5%増)、営業利益は1580億円(同15.7%増)と好調だった。特に「ドン・キホーテ」は、食品が売上全体の最大セグメントとなっており、6137億円(前年比7.8%増)と堅調。生活必需品の需要に支えられ、安定的な収益を確保している。店舗数を増やしている小型スーパーの「まいばすけっと」の直近の売上高は約2900億円で、「ドン・キホーテ」はその倍以上の売上高を叩き出している。

加えて、インバウンド需要が今期業績を後押しした。免税売上高は1742億円(前年比48.6%増)と過去最高を記録。訪日外国人観光客の回復基調が続く中、「ドン・キホーテ」が「爆買い」の中心地としての存在感を改めて示した形だ。カオスともいえる店内の陳列が外国人にも受けているようだ。

北米事業は、南カリフォルニアで発生した山火事で1店舗が焼失するなど一時的なマイナス要因があったものの、売上高が2594億円(前年比5.1%増)と増収を確保した。新規出店や営業施策が奏功した一方で、販管費が増加し、営業利益は22億円と前年から33.7%減少した。アジア事業は売上高912億円(前年比7.1%増)、営業利益は19億円(同13.2倍)と大幅増益となった。人件費の効率化や生産性改善に取り組んだ結果、販管費の増加を吸収し、利益率が大幅に改善した。

PPIHは2026年6月期の連結業績予想として、売上高2兆3270億円(前年比3.6%増)、営業利益1700億円(同4.7%増)、当期純利益1055億円(同16.6%増)としており、16年連続の過去最高益を目指す。また、10月1日付で1株を5株に分割すると発表。発表当日の株価ベースでは、最低投資額は約53万円から約11万円へと引き下げられ、個人投資家にとって投資しやすい水準となる。

PPIHは「ドン・キホーテ」を中核とした業態多角化で成長を続けている。食品や日用品の低価格販売が生活防衛志向の高まりにマッチしている一方、免税売上の拡大で訪日客需要も取り込み、二重の成長ドライバーを確保した。今後は国内での出店拡大に加え、北米・アジアでの成長加速を目指す。とくに円安が追い風となる海外戦略は注目度が高く、免税需要の回復もあり「グローバル小売企業」としての存在感を一層高めそうだ。

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