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「エルメス」の第3四半期は2兆円を突破も、香水・コスメ、時計はマイナス成長に

NEWOct 22, 2025.高村 学Tokyo,JP
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フランスの高級ブランド「エルメス(HERMÈS)」を展開するエルメス・インターナショナルは10月22日、2025年12月期第3四半期(1〜9月)の決算を発表した。売上高は前年同期比8.6%増の119億1600万ユーロ(約2兆972億円、1ユーロ=176円換算)と堅調に拡大した。主要市場のすべてでプラス成長を維持し、世界的なラグジュアリーブランドの中でも突出した安定感を示した。

なかでも日本市場の勢いが際立つ。売上高は前年同期比15.2%増の12億400万ユーロ(約2119億円)と、2桁の高成長を継続。本国フランスでも売上高は11億4300万ユーロ(約2011億円)と9.3%増を記録。欧州(フランスを除く)も17億2100万ユーロ(約3028億円、同11.7%増)と2桁成長を達成した。ヨーロッパ全体では観光回復の追い風を受け、現地顧客とインバウンドの両面で売上を伸ばした。

アジア(日本を除く)では、中国本土をはじめとする主要都市での需要が持ち直し、売上高は51億6300万ユーロ(約9086億円)で前年同期比4.0%増と小幅ながらもプラスを維持。南北アメリカは21億6900万ユーロ(約3817億円、同12.5%増)、中東を中心としたその他の地域も5億1500万ユーロ(約906億円、同15.4%増)と力強い伸びを見せた。特にアメリカ市場では、超富裕層向け顧客基盤の厚さが下支えとなっている。

部門別では、主力の皮革製品・馬具部門が依然として牽引役となり、売上高は前年同期比12.6%増の52億7800万ユーロ(約9289億円)に拡大。「バーキン」や「ケリー」といった象徴的なバッグを中心に、注文数が高水準で続いているようだ。既製服とアクセサリー部門も好調で、売上高は同5.8%増の34億1200万ユーロ(約6005億円)。

一方で、香水・コスメティクス部門は苦戦。売上高は3億6700万ユーロ(約645億円)で前年同期比5.0%減とマイナスに転じた。時計部門も同3.1%減の4億1200万ユーロ(約725億円)とマイナスだった。

2025年に入って以降、ラグジュアリー業界全体では中国市場の伸び鈍化や観光需要の一巡など、成長減速への懸念が指摘されている。しかし「エルメス」は、「クラフトマンシップ(職人技)」と希少性を軸としたブランド戦略を徹底することで価格競争に巻き込まれず、世界各地で安定した売上を確保している。

 

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