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Thai|髙島屋の海外での成功は偶然か?

May 16, 2018.セブツー編集部Tokyo, JP
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髙島屋がタイ・バンコクの大型複合施設ICONSIAM(アイコンサイアム)へ「サイアム髙島屋」の出店を公表したのは2014年。同時に連結子会社のタカシマヤシンガポールリミテッドが51%出資し、同施設を運営する現地企業の株式会社ICONSIAMと合弁会社を設立することも発表した。今年の秋ついに開業を迎えるが、ここ約4年間の髙島屋の業績は堅調に推移していて、タイへの出店も成功するだろうという声も少なくない。

その安定した業績伸長の要因の一つとして海外店舗の成長が挙げられる。1993年のシンガポールを皮切りに、翌年には台北(2016年に事業撤退、現在は名称の使用許諾をしているのみ)、2012年に上海、2016年にベトナム・ホーチミンに出店。海外出店第1号のタカシマヤシンガポールリミテッドの2018年2月期営業利益は36億円と全体(353億円)の10%を占める。面積は小さいが東南アジアで影響力があるシンガポールにおいて成功し”TAKASHIMAYA”ブランドを確立したことが、髙島屋の東南アジアでの拡大を支えるバックボーンになっていることは明らかで、シンガポールタカシマヤの成功がベトナム、タイへの出店に繋がったと考えていいだろう。

もう1つ触れておきたいのは子会社のSCデベロッパー東神開発だ。東神開発の2018年2月期の営業利益は90億円で全体の4分の1程度になっていて、シンガポールタカシマヤが出店しているシンガポール髙島屋S.Cのデベロッパーは同社の子会社トーシンディベロップメントシンガポールで、今や髙島屋の経営を支える大きな収益源となっている。長年蓄積した不動産開発のノウハウが国内、海外で発揮されているのが、髙島屋の現在の堅調を支えている。

日本企業は1980年代から中国や台湾をはじめとした海外への進出を図ったが、日本の小売業というのは特にブランド力があるわけでもなく、海外での運営ノウハウもない。そのような状態で海外に闇雲に出ていったことで失敗している企業は少なくない。2008年のリーマン・ショックから10年経ち、そろそろもう一度海外戦略を強化したいと考える企業も多いとは思うが、百貨店は髙島屋のような成功がない限りは1990年代のバブル崩壊後から続くダウントレンドを回復することを先決事項にするべきだろう。

  • 真実 稔

    真実 稔

    ファッション気象予報士

    東神開発って、50年前からある老舗子会社。ここがあるから商業施設が海外にも作れるんですよー。この会社もっと前面に出して、外貨稼ぎの風を吹かせてほしい。

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