
スポーツ用品大手のミズノは、9月に東京都内で直営店を一挙に4店舗開業する。新たに出店するのは「池袋パルコ」「渋谷パルコ」「ダイバーシティ東京(青梅)」「ニュウマン高輪」で、いずれも集客力の高い商業施設に位置する。4店舗の売上目標は2026年3月末までに合計で約6億円を掲げており、積極的な直営戦略の一環として位置付けられる。
ミズノは2025年3月期において、売上高・営業利益・純利益のすべてが過去最高を更新した。特にランニングシューズやスポーツウェアの販売が好調で、グローバル市場でも存在感を高めている。こうした業績の好調を追い風に、同社は直営店網の拡大を加速させている。
今回の東京4店舗同時オープンは、その象徴的な取り組みだ。同社は今後2~3年で直営店舗数を現在より大幅に増やし、50店舗体制まで拡大するとしている。
近年、スポーツ用品業界はEC市場が拡大している一方で、リアル店舗の役割も再評価されている。特に直営店では最新モデルの体験やフィッティング、スタッフによるアドバイスなど、ブランドの世界観を直接訴求できる点が強みだ。ミズノは今回の出店を通じて、ブランド体験型の販売を強化し、既存顧客のロイヤルティ向上や新規ファン獲得を狙う。
出店先も若者や観光客の集まるエリアや話題性の高い商業施設が中心。池袋・渋谷といった都心の人気エリアに加え、国際的な観光拠点であるダイバーシティ東京や、ビジネス層の利用が多い高輪の「ニュウマン」など、幅広いターゲットにリーチできる立地を選んでいる。
ミズノはこれまで、競技用具メーカーとしての信頼を基盤にしながら、日常生活に溶け込むスポーツアパレルやシューズを展開し、顧客層を広げてきた。直営店の拡大は、こうした事業ポートフォリオの強化に直結する。さらに、2025年以降はインバウンド需要の回復や健康志向の高まりも追い風となりそうだ。