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中国の「EC法」施行で、“転売屋”はむしろ増えるのか?

May 30, 2019.Tokyo, JP
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海外ブランドに対する中国人の消費意欲は増加する一方だが、関税や為替の影響で内外価格差も大きく中国国内では割高になる。例えば「ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)」の場合、フランスの公式ECで1980ユーロ(約24万1,736円*)で販売されているバッグが、中国の公式ECでは19100元(約30万2,324円**)と日本円にして約6万円の価格差がある。人気の商品は中国国内でも在庫がないため、ソーシャルバイヤーと呼ばれるいわゆる転売屋から購入することが日常的に行われていた。ソーシャルバイヤーたちは、海外で買い付けた商品をアジア最大級のECサイト「タオバオ(Taobao、淘宝)」で販売していたが、今では「ウィーチャット(WeChat、微信)」などのSNSでも販売するようになった。しかし、代理購入ということは国の市場管理の範囲に入っていないため、正規品の保証がないだけでなく税金の未収も大きな問題となっていた。そこで中国政府は2019年1月に商業登記や納税を義務付ける電子商務法(通称、EC法)を施行した。これまでは法人化も納税も必要なかったため、「タオバオ」で代理販売店を開設したり、「ウィーチャット」で代理販売を行うなどして、内外価格差から生じる差額を直接稼ぐことができた。「EC法」が施行されてからは、個人の代理購入は法律に基づいて商業登記を行って営業許可証を取得し、納税義務を履行して、その商品の代理購入に対してショッピング証明書と領収書を出さなければならず、法律違反者には最高200万元(約3166万円**)の処罰が与えられる可能性がある。これでは利益が激減するため、ソーシャルバイヤーが販売価格をつり上げると、消費者は正規の越境ECもしくは直接国内で購入する方法を選ぶようになるだろう。「EC法」に則って代理販売をするソーシャルバイヤーたちは、これを機に正式な代理販売会社を設立したり、海外購入プラットフォームに加入し始めている。いまだに「EC法」を無視して販売を行っているソーシャルバイヤーもいるが、このようなリスクを恐れて他の仕事に就く人も多くいるという。悪質なソーシャルバイヤーの数は減少傾向にあるが、法整備が整ったことで“中国政府お墨付き”の転売屋が増える可能性もあるだろう。


*1ユーロ=122.089円
換算(5月29日時点)

**1元=15.8285円換算(5月29日時点)

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