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デザイナーたちの衝撃的な動き!2022年重大ニュース(その7)

Dec 17, 2022.三浦彰Tokyo, JP
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海外のデザイナーの動きで2022年、最も衝撃的だったのは「グッチ(GUCCI)」のクリエイティブ・ディレクターだったアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)が11月に同ブランドを去ることを発表したことだろう。2015年から8年にわたりクリエイティブ・ディレクターを務めてきた。「グッチ」を傘下におくケリング(KERING)の総帥であるフランソワ・アンリ・ピノー(Francois Henri Pinault)との確執が原因と見られている。8年間にわたりジェンダーレスでオーバーデコラティブな「クレージー・グッチ」スタイルでZ世代に人気となり、さらにダブルGに続く新しいロゴ「グッチ・アーモント」を創造するなど前任のフリーダ・ジャンニーニ(Frida Giannini)時代に失ったシェアを取り戻し、さらに100億ドルブランドにしたのがミケーレだった。その後任には誰がなるのか大注目であるとともにミケーレが今後どんな道を歩むのかも気になるところ。

空白のままのビッグ・ポストというと、昨年11月28日に心臓血管腫で急死した「ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)」メンズのアーティスティック・ディレクターだったヴァージル・アブロー(Virgil Abloh・享年41)の後任ということになるだろう。LVMHのグループ内の人事異動などいろいろと考えられるだろうが、なかなか決定に至らず、デザインチームによるコレクション発表が2022年も続けられた。

2022年にあったデザイナーの衝撃的なもうひとつの動きは、現在最もクリエイティブなデザイナーの一人であるラフ・シモンズ(Raf Simons)が自身のブランド「ラフ シモンズ(RAF SIMONS)」をやめるという発表を11月にしたことだ。カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)が自身のブランドはそっちのけで「シャネル(CHANEL)」「フェンディ(FENDI)」のデザインを手掛けることでこうした「傭兵デザイナー」のシステムが確立されたが、ついに「ラフ・シモンズよ、お前もか!」という事態になってしまった。今後は「プラダ(PRADA)」の共同クリエイティブ・ディレクター(もう1人はミウッチャ・プラダ)に専念するということなのか。

なおプラダグループの共同CEOであるミウッチャ(73歳)は退任して取締役兼「ミュウミュウ(MIU MIU)」クリエイティブ・ディレクター&「プラダ」共同クリエイティブ・ディレクターになった。もう1人の共同CEOであるミウッチャの夫であるパトリッツィオ・ベルテッリ(Patrizio Bertelli)は取締役会長に、現会長のパオロ・ザンノーニ(Paolo Zannoni)は取締役会副会長兼プラダホールディングス会長に就任する。プラダグループの新CEOにはルックスオティカ(Luxottca)社の元CEOであるアンドレア・グエラ(Andrea Guerra)が就任。

もうひとつ、2022年のデザイナービジネスに関する驚きのニュースは、トム・フォード(Tom Ford、61歳)が自身のブランド「トム・フォード(TOM FORD)」を同ブランドの化粧品ライセンシーであるエスティローダー(Estee Lauder)社に28億ドル(約3920億円、1ドル=140円換算)で売却したことだ。ブランド創業者のトム・フォードは2023年末までクリエイティブ・ビジョナリーとして同ブランドに携わる。創業デザイナーが自身のブランドを売却して巨額のマネーを得るというものもいかにアメリカ的であるが、今後はこの売却金で、トム・フォードが一番やりたいことである映画づくりをしていくということなのだろうか。デザイナーの在り方がかなり変容しているようだ。

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