資生堂は10月20日、ボトル製造と中味液充填をワンステップで実現する技術「LiquiForm®(リキフォーム)」を世界で初めて化粧品に採用し、サステナブルな化粧品のつけかえ容器を開発したと発表した。「LiquiForm®」は、オーストラリアに拠点を置き、包装業界大手のアムコア(AMCOR)が中心となって開発した新しい容器技術。今回は、この技術を実用化した吉野工業所と資生堂が共同で化粧品容器を開発した。
「LiquiForm®」を活用した化粧品のつけかえ容器は、従来のように既に成型された空ボトルに中味を充填する形ではなく、容器のもととなるプラスチック部分を加熱して柔らかくし、そこに圧力をかけて中味を充填する。そうすることで、空気が入って風船が膨らむように、中味が入っていくことでプラスチックが伸びボトルが成型される。
この技術を採用することで、容器工場から充填工場への空ボトルの輸送が不要になり、輸送時のボトルの破損、変形の懸念がなくなる。また、つけかえ容器を薄い設計にできるため容器単体のプラスチック使用量を約70%削減し、同社の標準的な従来のつけかえ容器に対して約70%のCO2排出量削減も実現可能だ。単一素材設計のためリサイクル適性にも優れており、中味使用後は本体容器から取り外して新しい容器と交換できるため、本体容器を繰り返し使用できる設計にもなっている。
資生堂は2030年に向けて「美の力を通じて“人々が幸福を実感できる”サステナブルな社会の実現」を目指している。今後はこの新しいつけかえ容器をプレステージブランドなどでも活用し、商品を展開する予定だ。