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初任給30万円!新人店長月収39万円!!ファストリの大幅賃上げは本当に「衝撃的」なのか!?

Jan 14, 2023.三浦彰Tokyo,JP
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「ユニクロ(UNIQLO)」「GU(ジーユー)」などを展開するファーストリテイリングが国内従業員の年収を3月に大幅に改定し最大で40%アップ、初任給を月30万円にするなど国内人件費を平均15%アップする大幅な賃上げを1月11日に発表した。「衝撃的」という声が多いが、本当にそうだろうか。

これによると、現在25万5000円である新入社員の初任給を30万円へ(年収で約18%アップ)、入社1〜2年目で就任する新人店長は月収29万円を39万円(年収で約36%アップ)、その他の従業員も、年収で数%〜約40%の範囲でアップする。特に新入社員、入社歴1~2年の社員の年収の大幅アップが注目される。新入社員の40%は仕事の厳しさに耐えられず入社3年で退社するという同社の悪しき流れを変えるためではないのだろうか。そして数%~約40%というアップ率が示すように今回でも相変わらず徹底した成果主義である。

今回の賃上げは国内正社員の8400人ほどが対象になり、国内の人件費総額は前年比15%ほど増える見込みだ。ファーストリテイリングは2022年9月にもパート(準社員)やアルバイトの時給も改定している。岸田首相の「賃上げ要求」にいち早く大胆に対応してみせたということだろう。人材獲得競争に勝ち、国際競争力を強化する狙いだという。

ファーストリテイリングの2022年8月期の売上収益(一般企業の売上高に相当)は2兆3011億2200万円(前年比+7.9%)、営業利益2973億2500万円(同+19.4%)だった。ファーストリテイリングの平均年収は同社の2021年8月期の有価証券報告書によれば963万7000円だ。日本の勤労者(正社員)の平均年収は470万円程度だから約2倍である。仮に8400人の同社の正社員の年収を100万円アップすれば84億円、200万円アップすれば168億円の人件費増になる。2973億円の営業利益を計上するファーストリテイリングにとっては3〜6%程度である。業績に大きく響く金額ではない。言い換えれば、日本でトップクラスの年収と言われるファーストリテイリングでも、まだまだ人件費にかける金額は少ないということになる。それほど同社社員は年収の割には稼いでいるということになる。コスパの抜群に良い社員たちなのだ。そうでなければ、従来でも高給なのに入社3年で新入社員の40%が退社するという仕事の厳しさが説明できないのだ。

今回の「かなり衝撃的」と評価される賃上げでもまだまだ十分ではないということになるのではないか。ちなみにSPA(アパレル製造小売業)世界第2位(ファーストリテイリングは第3位、第1位は「ザラ」がメインブランドのインディテックス社)のH&Mの平均年収は10万ドル(約1300万円、1ドル=130円換算)である。今回の平均15%の「衝撃的」賃上げで平均年収は1000万円を突破するがまだまだ十分ではないと言えそうだ。

 

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