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今のファッション市場はゼログラビティファッションvsクレイジー

Jun 5, 2018.久米川一郎Tokyo, JP
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最近、街を歩く若者のスタイルを観察していると、ウェストがゴムのパンツやスカートに足元はスニーカー、色は黒やグレー、ベージュの組み合わせといった、信じられないほど「負荷のかからない」「異性の目も同性の目も全く気にしない」、言わば”ゼログラビティファッション”を多く見かける。ストリートファッションでは数年前に「anello(アネロ)」リュックの人気に火がつき、今年はサコッシュと呼ばれる主張の全くない、小型の斜めがけバッグが流行り始めていて、これもゼログラビティファッションの最たるものといえよう。

ファッションというのは本来個性を差別化するためにあるものだが、日本では目立ちたくないという意識から発展した、他人と差がつかない、同じようなスタイルになれるファッションブランドの規模が拡大。不思議なブランド消費が生まれているが、その究極がこの”ゼログラビティ”ファッションと言えるだろう。数年前に「ノームコア」というキーワードが市場を席巻したけれども、さらに進化している。とにかくひたすらリラックスしたいのだ。

しかし最近ではハンドバッグについていうと、「GUCCI(グッチ)」や「BALENCIAGA(バレンシアガ)」、「LOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)」が盛んに”クレイジー”なタイプを発表していて、アンチ・ゼログラビティの流れが出てきているように感じられる。

最近の「LOUIS VUITTON」と米「VOGUE」元クリエイティブ・ディレクターのグレース・コディントン(Grace Coddington)がコラボした猫モチーフのハンドバッグや、「OFF-WHITE(オフホワイト)」のデザイナーで、「LOUIS VUITON」メンズウェアデザイナーに抜擢されたヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)とアーティスト村上隆のコラボ商品などは、90年代初頭にラクロワなどが先導した”クレイジー・ファッション”が、再び市場に登場しているのを感じる。

まるで正反対の「ゼログラビティ」と「クレイジー」の流れが同時に市場に登場しているというのも興味深いが、これもファッションの面白さと言えるだろうか。

  • 高村 学

    高村 学

    株式会社Minimal 代表取締役/SEVENTIE TWO パブリッシング・ディレクター

    確かに東京でよく見かける「ゼログラビティ」な若者たち。「コンサバ」と「アヴァンギャルド」のように相反するトレンドはいつの時代にも同時にマーケットには存在していたが、「ゼログラビティ」はまさに現代の若者の世相を反映したトレンドと言えよう。「ゼログラビティ」世代にとっては、“月賦”で「アヴァンギャルド」な洋服を購入していた世代など理解不能だろう。

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