日経平均株価は、4月6日の高値で3万0208円をマークはしたものの、その後一度も3万円台に戻ることはなく、連休明けでは5月11日909円安、5月12日461円安、5月13日699円安と3日連続で大幅安になり、「え、大丈夫なのか?ついに令和バブル相場も終わったのか!?」という声が多く聞かれた。3日合わせて2070円の大幅安である。当然と言えば当然だろう。5月13日の終値は2万7448円で約4カ月ぶりの安値になった。ちなみに今年の安値は1月6日(水曜日)の2万7002円だ。2万7000円が防波堤という感じで、5月14日(金曜日)の動向が注目された。4日連続の下げで2万7000円台を割り込むようなことになれば、これはかなりバブル相場の終焉という印象が決定付けられることになる。
しかし、5月14日の終値は一気に反騰し、658円高で2万8000円台を一気に回復し2万8106円で終わった。
とは言え、これからも2万7000〜2万9000円の間を上下するボックス相場になることが予想される。なかなか3万円回復までにはだいぶ時間がかかるのではないだろうか。
3日間連続の大幅安の原因としては、米国の景気回復によるインフレ懸念が大きい。5月12日に発表されたアメリカ4月の消費者物価指数(CPI)の総合指数がなんと2008年9月(リーマン・ショックのあった月)以来12年7カ月ぶりで前年同月比4.2%という大幅上昇を見せたことが挙げられる。考えられる連鎖としては、このインフレに対応した現在の金融政策の見直し、つまり公定歩合を上げることによる金融引き締めにFRB(連邦準備制度理事会)が動く→金利上昇→株から債券への資金の移動→株価暴落ということが考えられるので、これは一度リスクヘッジして株を売っておいた方がいいという判断を投資家がしたということのようだ。このNY証券取引所の動きが日本にも波及したというのが最大要因であろう。
加えて、コロナ報道のためになぜか大きく報道されない緊迫化するパレスチナ情勢も大きな不安要因と言えるだろう。
さらにコロナ禍がひとまず沈静化したアメリカと違って一向に沈静化が見えない日本のコロナ禍というのも、少なくとも日経ダウ平均には大きなマイナス要因になっている。5月10日に3万5000ドル台に突入したNYダウが、このインフレ懸念から3万3000ドルに突っ込んだものの、簡単に3万4000ドル台を回復したのと対照的で、日経平均はそこまで戻りが早くないのもそのためだろう。さらに身動きがとれなくなっている東京オリンピック・パラリンピックの開催という厄介な問題も日本は抱えており、これが開催中止などということになれば当然のことながら株価にとっては強烈なマイナス・インパクトになろう。
欧米には「5月に売って立ち去れ。9月のセントレジャーデイ(9月第2土曜日)まで戻ってくるな」という有名な相場格言があるが、どうもそんな感じの展開になりそうではある。