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「備え」を100円で売るキャンドゥ 「念のためひとつ買う」心理を突いて営業利益が3倍に【いづも巳之助の一株コラム】

NEWOct 17, 2025.いづも巳之助Tokyo, JP
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100円ショップ業界は長く「安さ」「多品種」「入れ替えの速さ」で競ってきた。だが、キャンドゥの今期は少し違う。物価高と異常気象が続く中で、懐中電灯、簡易トイレ、養生テープ、非常食といった防災商品が思わぬヒットを生んでいる。メディアでも、これらが黒字転換の主要因と明記された。「買わなきゃ」とまでは思わないが、「念のため1個だけ買っておくか」と思わせる価格設定。

実は巳之助も「簡易トイレ」「ポンチョ」「懐中電灯」をついで買いした一人だ。「安い金額だし、この際いくつか買っておくかな」と。いやしかし、こんなお客さんかなりいるはずだ。こうした「なんとなく備える」心理が、キャンドゥの新しい収益源になっている。季節や流行ではなく、日常と共にある「防災・節約」カテゴリーが業績を支える構造は、他社にはない強みだ。

◾️他社との比較:セリアとダイソーの間で
100円ショップ3社を比較すると、個性がくっきりと分かれる。

セリアは「デザイン性」と「インテリア感度」で女性ファンを拡大。SNS映えを武器に、日常品を「かわいい雑貨」に変えた。

ダイソーは「スケール」と「高価格帯(200〜500円)」の拡張で、もはや「プチ量販店」化している。物流網の強さは圧倒的だ。

キャンドゥは、「生活防衛インフラ」路線を歩んでいる。安さではなく、「日常の延長線上で備える」をテーマに、地に足の着いた商品群を揃える。

結果、他社が伸び悩む中で営業利益は3倍以上に増え、利益率でもセリアを猛追する位置にまで上がってきたんだ。

◾️数字で見る黒字転換の構造
上期の営業利益13億2400万円は前年の約3倍。粗利率は前年比+1.1pt改善、販管費率は0.6pt低下。つまり、単価を上げずに「構造的な効率改善」で利益を積み上げている。直営比率が87%と高く、店舗運営の自由度も強みだ。また、営業キャッシュフローは+30億円。現金残高51億円と、前年の倍近いキャッシュリッチ体質に変わった。通期予想10.8億円を上期で超過しており、下期の投資に余裕を持って臨める構造だ。

◾️投資判断とシグナル
株価は10月10日時点で3,590円(+1.56%)。PBR0.9倍、EPS45円台と割安水準。財務体質は健全で、ROEも回復基調にある。短期的には押し目3,400円前後が拾い場かな?長期では「防災×節約」という社会テーマを背負う銘柄として、一定のディフェンシブ性を持つ。

巳之助は「節約」と「防災」で少し迷うけど。

プロフィール:いづも巳之助
プライム上場企業元役員として、マーケ、デジタル事業、株式担当などを歴任。現在は、中小企業の営業部門取締役。15年前からムリをしない、のんびりとした分散投資を手がけ、保有株式30銘柄で、評価額約1億円。主に生活関連の流通株を得意とする。たまに神社仏閣への祈祷、占い、風水など神頼み!の方法で、保有株高騰を願うフツー感覚の個人投資家。

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