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「MISS DIOR」の甘き香りまで表現 ジョナサン・アンダーソンが「ディオール」で見せた新たな「エレガンス」

NEWOct 2, 2025.日置千弓Tokyo, JP
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「ディオール」のデザイナーに就任したジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)の初コレクション、2026年春夏コレクションがパリで開催された。

ミニマルでいながらオフ・ザ・ボディ(体から離れたシルエットや動きのあるライン)もある。そんなトレンドをしっかりと押さえながら、驚くような新しさ、すなわち彼ならではのアイディアと、パリのブルジョワっぽい上品さにリアル感。それら全てを包含した「ディオール(Dior)」でのデビューショーは大成功だった。ジョナサン・アンダーソンは、観客総立ちのスタンディングオベーションでフィナーレを飾った。

 

オープニングは純白のドレス。クリスチャン・ディオールの象徴であるウエストから優美に広がるシルエットと、初々しい大きなリボン。しかし、次に現れたのは、カーキに近いグリーンと白の細かなチェックのセットアップ。それも、ジャケット&スカートではなく、ブラウス&マイクロミニスカート。

カジュアルであり、ポケットに手まで入れているが、襟元の大きなボウタイによってクラシックで凛としたムードが漂う。シャープな線が何かに似ていると思ったら、それはエディ・スリマンだった。彼がウィメンズでマイクロミニのスカートをしばしば見せたことも理由の一つだが、もっと「近い」と感じられたのは、エディが2000年代に「ディール・オム(Dior Homme)」で見せた細身のコレクションでの緊張感。会場中が息をつめて見守っていた時のような緊迫した空気が酷似している。

続いて現れたスカラップの前立てが付くブラウス二ットと共の黒いパンツ。下半身が殆どスポーツ仕様であるにもかかわらず、なぜか脳裏に浮かぶのは若きカトリーヌ・ドヌーブ。そう、英国人であるジョナサンは、フランスを、パリモードを代表するメゾンにふさわしい服を作るべく、自らの考えるかの国のムードをみごとに凝縮して見せているのだ(エディは生粋のフランス人である)。

では、ムッシュらしさは?おお、歩くと腰の後ろで羽のようにリボンが揺れるレースのロングドレス、これこそまさに「MISS DIOR」、もしくは乙女のような香りの「ディオリッシモ」。眼前にあるのは服なのだが、甘き香水が漂うが如く。グレーのバージャケットにはあえて、イレギュラーなペプラムの刻印を押し、真紅のプリーツトップスの下には、やはりあえてワイドなクロップドカーゴパンツ。ただの上品、単なるクラシックならジョナサンがデザインする必要もない。

バブルドレスやフラワープリントの甘さは、抑えたカラーリングでより引き立ち、出ましたツイードのテーラードセットアップは、横から見た時のテントラインの可愛いこと!変形Aラインのミニのコートも着たい、着てみたい、できることなら欲しい。自分の体型、年齢はさておき、そういう欲望を興させる服に久々に出会ったような気がする。もちろんオトナも着られる襟ぐりの深いゆったりとドレープを描くブラウスや、やはりゆとりのあるラインが優美なワイドパンツも魅力的だ。

メンズに続く快挙、おめでとうジョナサン!そして来年のオートクチュールでの更なる飛躍を祈ります。

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