兵庫県の元局長による内部告発文書を発端とした、斎藤元彦・兵庫県知事のタカリやパワハラなどの疑惑が問題になっており、斎藤県知事に対して知事としての資質が大きく問われている。内部告発文書は7項目にわたっているが、斎藤元彦氏を巡るもっとも重大な問題はその後の内部告発者に対する対応だ。
本来、内部告発者は公益通報者保護法によって保護されるべきだが、斎藤県知事は7月末に辞職した片山安孝前副知事に「徹底的に調べてくれ」と指示し、内部告発者を特定し処分した。片山前副知事は元局長を訪ねると県から支給されていたパソコンを押収し、1週間後に予定されていた定年退職を差し止めて局長を解任、総務部付へ異動させる人事を行った。
斎藤県知事は、3月27日の記者会見で内部告発文書に対して、「事実無根」「嘘八百」などと完全否定し、公益通報としても認めなかった。内部告発文書を作成した元局長は、7月7日に生家で亡くなっているのが見つかっている。自殺とみられる。
こうした事態を重く受け止めた兵庫県議会は、9月6日に百条委員会を開いたが、斎藤元彦氏はパワハラ疑惑などの告発告発文書は公益通報にあたらず、文書を作成した元局長への処分も適切だったとの認識を改めて示している。辞任要求にも応じる考えはなく、今後は不信任案が提出される可能性が高い。
斎藤元彦氏は、1977年に神戸市須磨区で生まれ、現在は46歳。2002年に東京大学経済学部に入学し、この頃は「フェンディ(FENDI)」のマフラーを愛用していたことから、「フェンディ」と呼ばれていたという。卒業後に総務省へ入省すると、2011年には日本維新の会と自民党の推薦を受けて兵庫県知事選挙に出馬し、当選を果たしている。選挙時は、高市早苗議員や河野太郎議員らも応援に駆けつけていた。
85万票もの得票数を獲得し、「兵庫県の新しいリーダー」として期待されていた斎藤元彦氏だが、県民からの期待を裏切ることとなりそうだ。