
アシックスは11月12日、2025年12月期の第3四半期決算(1〜9月)を発表した。売上高は6250億5500万円(前年同期比19.0%増)、営業利益は1276億600万円(39.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は863億1400万円(32.9%増)と、主要指標すべてが2桁成長を記録した。売上高は同期間として初めて6000億円を超え、営業利益・純利益も過去最高を更新。パフォーマンススポーツとファッションの両面でブランド力を高め、事業全体が底上げされた格好だ。
カテゴリー別では「オニツカタイガー(Onitsuka Tiger)」の存在感が際立つ。売上高は998億7600万円(前年同期比45.7%増)、カテゴリー利益は393億6300万円(同51.4%増)と、ファッション市場の拡大を捉えて大幅成長した。アジア市場を中心にグローバルでの認知度が向上しており、直営店の強化やアイコニックなスニーカーのヒットが寄与した。
主力のパフォーマンスランニング部門も堅調で、売上高は2843億500万円(同10.1%増)、カテゴリー利益は725億1700万円(同18.1%増)と二桁成長で、スポーツ市場全体の好調さに加え、競技志向からライフスタイル用途まで幅広く需要を取り込んだ。
地域別では全エリアが増収。特に中華圏は市場全体の停滞をものともせず、売上高929億6500万円(18.8%増)、セグメント利益224億4200万円(27.7%増)と二桁成長を維持した。通期では1000億円を突破する勢いだ。アシックスは中国でのブランド価値向上を成長戦略の要と位置付けており、安定的な推移が続くことで全体業績を下支えしている。
日本市場も好調だ。売上高は1520億9500万円(22.5%増)、カテゴリー利益は335億4400万円(60.7%増)と利益率の改善が際立つ。ランニングカテゴリーの強さに加え、「オニツカタイガー」の国内需要が堅調に推移し、高単価モデルの販売が利益成長に寄与した。
通期業績予想では売上高8000億円(前期比17.9%増)を据え置く一方、営業利益を1400億円(従来予想1360億円、同39.8%増)、純利益を900億円(同870億円、同41.1%増)へと上方修正した。さらに株主還元として総額300億円の自己株式取得を決定。期末配当も26円から28円へ増配しており、この5年間で配当額は4.6倍に拡大した。
またアシックスは4月、スポーツを通じた社会課題解決を目的に一般財団法人「アシックスファウンデーション」を設立。理事長には甲田知子・常務執行役員が就任し、元卓球選手の石川佳純氏、パラ水泳の一ノ瀬メイ氏らが理事として参画するなど、社会的価値の創出にも本格的に取り組んでいる。
売上・利益ともに過去最高を更新し、主力カテゴリー・主要地域がそろって成長する強い構造が鮮明になった今回の決算。アシックスは持続的な収益成長とブランド価値向上を両立させながら、通期に向けても勢いを維持する見通しだ。











![[[name]]](/assets/img/common/sp.png)