
電通グループの株価が8月15日、取引開始直後から急落。前日終値比450円安と売りが先行し、一時14%超下落した。前日に2025年12月期の業績予想を下方修正し、最終損益が754億円の赤字になる見通しを発表したことが嫌気された。
同社は前期に1921億円の最終赤字を計上しており、これで3期連続の赤字となる見通し。修正前は100億円の黒字予想だったが、一転して大幅赤字に転落する。背景には海外事業の不振があり、海外従業員の約8%にあたる約3400人を削減。2020年にも約6000人を削減しており、累計で1万人近い規模に達する。
2025年12月期の中間期業績は、収益6839億400万円(前年同期比0.4%増)に対し、営業損益は365億4500万円の赤字(前年同期は257億3000万円の黒字)。最終損益も736億4700万円の赤字(同55億6400万円の黒字)と赤字転落した。
第2四半期には欧州・中東・アフリカ地域で860億円ののれん減損を計上。前期も同地域で1530億円、米州で571億円、計2101億円の減損を行い、過去最大となる1921億円の最終赤字を出していた。2022年にはロシア事業撤退で約370億円の損失も計上している。
電通グループは2013年に英イージスグループを約3970億円で、2021年には米ライブエリアを約277億円で買収するなど、国内市場の成長鈍化を背景に海外展開を加速してきた。しかし、事業環境の変化で収益改善は遅れ、減損や人員削減を繰り返している。
通期予想は、収益1兆4332億円(前年比1.6%増)、営業利益350億円(前年は1249億円赤字)、最終損益754億円赤字とした。第2四半期に関係会社株式評価損として1681億円を計上し、利益余剰金が大幅減少。年間139.5円を予定していた配当も、中間配当は見送り、期末は未定に修正した。