中国ではラグジュアリー・ブランドの公式の人気ランキングは絶対に存在しない。なぜなら、各ブランドは自分たちが「2番目に人気のブランド」と認めることがないためだ。ただ、ベテラン編集者としての長年の観察によると、中国人に最も人気のあるラグジュアリー・ブランドは昔からあまり変わっていない。
「Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)」と「Christian Dior(クリスチャン・ディオール)」は90年代に初めて中国市場に進出したブランドとして、中国市場にとって最も重要な存在である。中国人の中では彼らはトップ・ブランドの象徴だ。その後すぐに中国市場に参入した「CHANEL(シャネル)」と、バーキンとケリーを有する「HERMES(エルメス)」も中国人の中でとても高い地位に君臨している。これらは同じアジアの日本の位置付けとほとんど変わりはない。
近年“千禧一代(1984年から2000年に生まれた人たち)”はラグジュアリー商品のメインの消費者となっており、各ブランドもそれに合わせてポップな若者に受けそうな商品を出している。中国人が最も愛しているブランドリストに「DOLCE&GABBANA(ドルチェ&ガッバーナ)」と「VALENTINO(バレンティノ)」と「GUCCI(グッチ)」も加えた。「DOLCE&GABBANA」は中国に20代から40代のロイヤルティの高いVIPを大量に抱えている。なぜみんなに好かれているかというと、「DOLCE&GABBANA」の華麗な装飾スタイルが中国人の好みだからである。また、「GUCCI」にアートディレクターのアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)が就任してから中国でさらに爆発的に人気が出た。その大きいロゴと品番の多さが万人受けしたのである。これ以外に中国で最も大きいECサイト「淘宝(タオバオ)」で検索すると、「YVES SAINT LAURENT(イヴ・サンローラン)」と「Chloe(クロエ)」と「Celine(セリーヌ)」などの転売屋が大量に出店している。中国でのその流通量を窺い知れる。「BALENCIAGA(バレンシアガ)」は急激に人気が上がったが、パリでの4月の乱闘騒ぎ事件以来、中国人から拒否され始めており、今後どうなるかは予想できない。