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レナウンの次に危ない企業を推理する!?

May 24, 2020.久米川一郎Tokyo, JP
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渋谷スクランブル交差点(4月28日撮影、PHOTO:SEVENTIE TWO)

5月15日にレナウンが民事再生法適用会社になったことで、アパレル&ファッション業界には「次のレナウンはどこだ?」という恐怖が広がっている。

週刊ダイヤモンドは売上高100億円以上のアパレル上場企業を対象にして、アパレル24社「余命」ランキングというとんでもないランキングを発表している。要するに手元資金(直近決算短信上の現金及び現金同等物の期末残高)で今年3月での月間損失が続くとして、「何カ月持つか?」というのを単純計算したもの。

1位 レナウン(2.2カ月)、2位 ユナイテッドアローズ(2.9カ月)、3位 ワールド(5.4カ月)、4位 ナルミヤ・インターナショナル(6.8カ月)、5位 パレモ・ホールディングス(6.9カ月)、6位 コックス(7.1カ月)、7位 オンワード・ホールディングス(9.1カ月)、8位 三陽商会(9.2カ月)、9位 TSIホールディングス(9.4カ月)、10位 コナカ(9.9カ月)、11位 ライトオン(10.1カ月)、12位 マックハウス(14.0カ月)、13位 青山商事(14.5カ月)、14位 アダストリア(18.6カ月)、15位 AOKIホールディングス(22.6カ月)、16位 はるやまホールディングス(23.2カ月)、17位 ハニーズ・ホールディングス(36.3カ月)、18位 バロックジャパンリミテッド(46.8カ月)、19位 TOKYO BASE(50.0カ月)、20位 ファーストリテイリング (251.2カ月)

以下、しまむら、良品計画、西松屋チェーン、ワークマンの4社については、今年3月の損益が黒字なので対象外だが、ランキングに入っているというお粗末さだ。20位のファーストリテイリング の251.2カ月という断トツの「余命」というのも笑える。3月時の状態でも20年は存続するということになるのだから笑えてしまう。怒っているのは、ユナイテッドアローズだろう。現金及び現金同等物が57億円しかないというのも信じ難いが、要するにユナイテッドアローズのような優良企業でも日銭商売でやりくりしているということなのである。もちろん優良企業だからCP(コマーシャルペーパー)などを発行して簡単に資金調達できるわけだから、レナウンのようにわずか2.2カ月で「昇天」してしまうようなことはないが、それにしても悪趣味なランキングである。

今回の「コロナ・ショック」でレナウンに続いて倒産しそうなアパレル&ファッション企業は残念ながらあると思う。このダイヤモンドのような無責任なランキングではなく、その危険度を表すのは上場企業ならやはり株価であろう。

例えばレナウンは民事再生申請した5月15日の終値は78円。今年に入ってから100円の株価を維持してきたが、2月25日には100円を遂に切って終値で99円。額面という概念があって額面50円時代から株価100円が「要注意」、50円を切ると「危険」と言われている。

さて上場しているファッション&アパレル株の中から200円以下の銘柄(株価は5月22日終値)を見てみると:
第1位 キムラタン:24円
第2位 堀田丸正:61円
第3位 タカキュー:135円
第4位 コックス:137円
第5位 MRKホールディングス(旧マルコ):148円
第6位 サマンサタバサジャパンリミテッド:170円
第7位 山喜:185円

ベビー・子供服のキムラタンの株価は24円。売上高(2020年3月期)は年間49億円ほど。ここ数年赤字を垂れ流している。現金及び預金は2億6600万円。いつ倒れてもおかしくないが、昨年には中西という子供服企業を買収するなど意欲は見せているのだが、いかんせんどう見ても時間の問題にしか思えない銘柄だ。

第2位の堀田丸正と第5位のMRKホールディングス(旧マルコ)はRIZAPグループだが、今回の「コロナ・ショック」でRIZAPグループの再編は必至だろう。2020年3月決算でやっと黒字化の目処がたった堀田丸正だが、再び暗転も考えられる。和装事業、寝装事業、洋装事業、意匠糸事業ともにとりたてた特色のない地味な企業だ。

この100円以下の2社は、これからの荒波を乗り切るのは厳しそうだ。100円以上の株価で注目されるのはサマンサタバサジャパンリミテッドだろう。紳士服チェーンのコナカのグループに入り、最近コナカグループの服飾雑貨のフィットハウスとの合併が発表されてコナカによる再建が本格化しようとしているが、コナカもそれほど体力がある企業ではなく、相乗効果が出るのかどうか注目される。「サマンサタバサ」というブランドが再び若い女性の支持を取り戻すことができるのだろうか。最悪共倒れもありうる。

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