日本人のファッションフォトグラファーで、世界的に活躍してきた七種諭(さいくささとし)氏が9月28日、滞在先の京都で死去した。享年62。七種諭氏は、1984年に拠点をパリに移し、28歳でイタリア版『VOGUE』のフランカ・ソッツァーニ(Franca Sozzani、2016年に66歳で死去)に見い出され、日本人で初めて同誌の表紙を撮影し、モードの本場でファッションフォトグラファーとして頭角を現していった。その後は、「イヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)」や「ディオール(Dior)」といったラグジュアリーブランドの広告ビジュアルを数多く手掛け、世界的な日本人ファッションフォトグラファーの第一人者として国境や世代を超えて活躍してきた。日本のファッション誌の撮影も数多く手掛けて、日本のファッション業界に大きな影響を与えてきた存在だった。18歳の時に初めてパリで七種氏と撮影したというモデルの冨永愛氏は自身のインスタグラムで、「とってもダンディで、男でも惚れてしまうような格好良くて素敵な人。そして最近も一緒に仕事して… あまりにも突然の事で驚いているし悲しくて仕方がないよ」と、コメントしている。
七種氏は、2010年にはパリのサンジェルマン・デ・プレ地区に、「クリエイティブな人たちが集まる場所があって、コミュニケーションをとって情報を交換したりとかができる場所があればいいかな」という思いから、現代アートギャラリー「Da-End」をオープンしたとウェブメディア「Design Stories」で語っていた。多方面でのさらなる活躍が期待されるなかでの突然の訃報だった。長年にわたってファッションシーンを鮮やかに表現してきた七種諭氏のご冥福を祈りたい。