・売上高:135億700万円 →114億6000万円
・営業利益:−8300万円→−5億7700万円
・経常利益:−1億2100万円 →−7億1800万円
・親会社株主に帰属する四半期純利益:−2億2600万円 →−6億2000万円
修正の理由として、サマンサは①今夏の記録的な猛暑の影響、②複数回に及ぶ台風の直撃、③郊外ロードサイド店舗を中心に来店客数がコロナ感染症前まで戻らなかったことを挙げている。
コロナ禍が去っても、売り上げが戻らないブランドが結構ある。要するにコロナ禍が始まった2020年2月あたりから、コロナ禍とは関係なくブランドの衰退が始まっていたということなのだ。もちろん経営者はそうは書けないから天候や気象を理由にするしかないのだろうが、普通のブランドなら2022年のコロナ禍の時期に比べて2023年の売上高が10%近く減少しているということは、もはやブランド自体が衰えているということに他ならない。
しかも「サマンサ」の場合、ディズニー創立100周年の記念コラボを7月8日から10月15日までの100日間実施中で、この売り上げがほぼ2カ月分上乗せするはずだが、どうもコラボ効果は今ひとつのようだ。加えて、サマンサの創業者でサマンサからは引退している寺田和正氏が2020年に設立した新会社サマンサグローバルブランディングアンドリサーチインスティチュート(Samantha Global Branding & Research Institute)へ譲渡した海外事業やスイーツ事業が「サマンサ」のブランドを強くアピールし、今年8月31日には美容分野への参入を発表し、11月1日から「サマンサ ビューティ プロジェクト(Samantha Beauty Project)」をスタートするなどサマンサ本体を後押しする話題には事欠かない。しかし、肝心のハンドバッグの売り上げは伸びないのだ。
「サマンサタバサ」が全盛を誇った2000年代のいわゆる赤文字雑誌「CanCam(キャンキャン)」「ViVi(ヴィヴィ)」「JJ(ジェイジェイ)」「Ray(レイ)」に代表される「モテ系」ファッションが低迷するのに従って、そうした「モテ系」の代表的ファッションだった「サマンサ」に対する関心も薄れてきたというのが、「サマンサ」が売れない最大要因のように思われる。時代は「モテ」からスニーカーをベースとした「ラク」ファッションへ2000年代中盤から大きく転換していたのだ。こうした時代の流れにサマンサは対応することができなかったのではないか。いや、あまりにもそうした「モテ」戦略がうまくいったために、その成功の余韻を長く引きずってしまったのではないか。
それはともかく、10月に発表されるであろうサマンサの中間決算は大幅に下方修正されるのだが、不思議なことに通期決算は修正されずにそのままというのが理解できない。ちなみに2024年2月期通期決算予想(4月14日の2023年2月期決算発表時)は以下の通り。
・売上高:268億7200万円(前年比+6.5%)
・営業利益:5億5800万円(前年−17億1700万円)
・経常利益:4億9000万円(前年−15億4800万円)
・親会社株主に帰属する当期純利益:2億8300万円 (前年−19億9600万円)
サマンサは、「全方位的な構造改革の効果が期待され、また当社のおいて大きな割合を占める第3四半期、及び第4四半期を控え、順調に回復し今下期も期待されるインバウンド需要の回復が見込まれる」などの要因から据え置くとしている。
しかし、ブランド自体が衰えている今、回復は難しく8期連続の赤字(純損益段階)は避けられそうもない。復活はあるだろうか。