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猛暑・日本のこれからのワードローブ 三陽商会が「五季」で組む夏服の新戦略とは

NEWMar 12, 2026.高村 学Tokyo, JP
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撮影:SEVENTIE TWO

猛暑が常態化する中、アパレル各社が「酷暑対応」を強化している。ファン付きウェアや冷感素材の衣類、日傘やUVカットアイテムなど、暑さ対策商品は年々広がっている。こうした中、三陽商会は3月11日、盛夏・猛暑に対応した商品を拡充すると発表した。

同社はこれまで四季をベースに商品展開してきたが、2024年からは「五季」戦略を導入。5〜7月を「初夏・盛夏」、8〜9月を「猛暑」と定義し、夏商戦を実質5カ月に拡大している。気温の変化に合わせて商品を投入することで、長期化する夏需要を確実に取り込む狙いだ。

説明会に登壇した取締役兼副社長執行役員の加藤郁郎・事業統括本部長は、今夏のテーマを「気候変動に適応するスマートクローズ」と説明した。「暑い中でも、実用性とファッション性の両方を備えた商品を提案していく。夏物に付加価値を加え、夏特有の悩みを解消する着こなしを提案していきたい」と語る。

ウィメンズでは、レースやシアー素材に加え、メッシュ素材など軽やかなデザインを拡充。メンズではドレスTシャツやシアージャケットを拡充し、暑い季節でも快適に着られるビジネススタイルを提案する。また、日傘や扇子など雑貨も強化し、特にメンズ日傘は前年の2倍以上を生産する計画だ。

主力ブランドの「マッキントッシュ フィロソフィー(MACKINTOSH PHILOSOPHY)」では、機能性とファッション性を両立した商品を軸に展開する。ウィメンズでは、接触冷感やUVカット、吸水速乾などの機能を備えたアイテムを強化する一方、長期化する夏に対応したファッション性の高い商品も拡充し、客単価と新規顧客の双方を狙う。

商品提案は月ごとに変化させる。6月は英国リバティ柄を使用したワンピースやブラウスなど、繊細なギャザーとフレアシルエットが特徴のアイテムを打ち出す。7月はエントリープライスのカットソーやライトオンスデニムを強化し、8月にはケーブルニットやポロニットなど、秋を感じさせる素材を先行して提案する。

通勤需要に向けたセットアップも強化する。リネン混素材の半袖ジャケットなど、接触冷感やストレッチなど多機能を備えた商品を展開。さらに英国のビジネスシリーズ「TROTTER」をレディースでも展開し、機能性とクラシックなデザインを融合させた通勤スタイルを提案する。雑貨ではPVCバッグや高い遮熱性を備えた軽量日傘など、酷暑対策アイテムも拡充する。

メンズでは、ブランドの強みである機能性ビジネスウェアに改めて焦点を当てる。クールビズ需要に向けて、軽量カーディガンやシャツアウターなどビジネスシーンでも着用できる軽快なアイテムを拡充。同素材のパンツと組み合わせたシャツセットアップやカーディガンセットアップなど、新しいビジネススタイルを提案する。

また、秋色の夏素材を使ったアイテムやデザートブルゾン、コーデュロイのセットアップなど、端境期を意識した商品も強化。ロイヤル顧客に向けて新作を先行提案し、秋商戦への需要喚起につなげる考えだ。

「エポカ(EPOCA)」では、ブランドの強みであるニットを軸に商品を展開する。主力となるのは吸水速乾性のあるペーパー素材を使用したニットシリーズ「ラマリア」だ。ジレなども含めたトータルコーディネートを提案し、夏でも軽やかなスタイリングを打ち出す。

また、カットソーやカーディガン、ブラウスなどを通常価格より10〜20%抑えた価格戦略商品として投入。クリアランス期でもプロパー商品を購入しやすい価格設定とすることで、幅広い顧客層の購買を狙う。

ビジネス需要に向けたセットアップも強化する。接触冷感やUVカット、ストレッチなどの機能を備えた「24ジャケット」シリーズを展開するほか、従来より価格を抑えたセットアップも用意。セール期にはブラウンやカーキなど秋色レースを取り入れたスタイリングを提案し、端境期の新たな需要を取り込む。

「ポール・スチュアート(Paul Stuart)」は、今夏のテーマを「エアエレガンス」と設定。軽装化する季節でもブランドらしい上品さを表現するスタイルを提案する。現在の売り上げ構成はビジネス55%、カジュアル45%だが、春夏はカジュアル需要が高まり、ほぼ半々の構成になるという。

商品ではスーツに代わるビジネススタイルとしてセットアップを強化。再生素材を使用したセットアップや軽量ジャケットを展開し、ニットポロと組み合わせたノータイスタイルを提案する。また、夏から秋まで長く着用できるよう秋色を取り入れた商品も展開する。

カジュアルでは価格戦略商品を拡充し、新規顧客の獲得を狙う。税込9900円のTシャツや従来より価格を抑えたジャケットを投入するほか、リネン混素材のカラーパンツなどで色を軸にしたコーディネートを提案する。さらにゴルフラインも強化し、キャディバッグなど関連アイテムも含めた提案を行う。

猛暑が常態化する中、アパレル各社の夏戦略は「涼しさ」だけでなく、長く続く夏を前提にしたファッション提案へと広がっている。

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