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Japan|上場から1年経ったメルカリの今後

Jun 20, 2019.久米川一郎Tokyo, JP
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「2019年度フリマアプリ利用者と非利用者の消費行動に関する意識調査発表会」より

株が上昇するのには2つのパターンがある。ひとつは企業業績が将来的に大きく向上する場合。もうひとつは目先の業績はともかく、そこに従来のパラダイムを大きく転換するような夢や可能性がその企業に感じられる場合である。例えば1994年に設立され、1997年にナスダックに上場したアマゾン(Amazon)は、巨額の赤字が続いたにも関わらず株価は上昇を続けていた。フェイスブック(Facebook)も同様である。

日本で昨年6月19日に上場したメルカリは、そうした意味では、投資家に夢を見させてくれる存在だった。だからこそ1株3000円の公募株は当選確率は個人投資家50倍、機関投資家・海外投資家20倍という気の遠くなるような希少な存在だった。昨年6月19日の上場の日、5000円の初値がついて、その日の高値は6000円をマークした。結局この6000円がこの1年での最高値となった。その株価は、1711円(2018年12月25日)まで下落して、投資家を失望させた。現在株価が公募価格の3000円前後をウロウロしているメルカリは、昨年から今年にかけ多角化戦略に次々と終止符を打っている。

1)2018年5月31日 「メルカリアッテ」終了
「メルカリアッテ」は地域コミュニティアプリ。地域特化型の無料掲示板のようなサービスで、品物取引やイベント告知、質問投稿など多様な用途で利用されていた。

2)2018年8月20日 「メルカリNOW」 終了
「メルカリNOW」は即時買取サービスで、ユーザーが商品を撮影するとオンライン査定され、査定金額が即日で入金されるという仕組み。

3)2018年8月21日「 teacha」終了
「 teacha」は「学び」のC to Cサービス。勉強、趣味、スポーツやユニークなものまで、様々なレッスンを手軽にやり取りすることができた。

4)2018年8月31日 「メルカリメゾンズ 」終了
「メルカリメゾンズ 」は「メルカリ」とほぼ同じサービスだが、商品を売る前に査定金額を提示してくれたり、売れやすい写真の撮り方などをサポートしてくれた。

5)2018年11月2日 「メルカリカウル」 終了
「メルカリカウル」はメルカリのグループ会社ソウゾウが提供していた姉妹アプリ。「メルカリ」の本、CD、DVD、Blu-rayに特化したバージョン。

6)2018年12月18日 イギリスからの撤退を発表
イギリス市場は、日本、アメリカに次ぐ第三の市場として拡大を模索していたが、失敗に終わった。

7)2019年1月31日 「メルトリップ」終了
「メルトリップ 」は旅先で撮影した写真が自動でまとめられるアプリ。旅の思い出を他人と共有することができた。

8)2019年6月7日 「メルカリチャンネル」終了
「メルカリチャンネル」はユーザーがライブ配信をして商品の売買をすることができるライブフリマ機能。

9)2019年6月13日 「メルチャリ」終了発表
シェアリングサイクルサービス。スマートフォンを使って街中で手軽に自転車をレンタルすることができる。

注目されるのは、今年6月末の決算だ(発表は8月)。赤字は確定的だが、どうも2018年6月期の営業赤字44億2200万円、経常赤字47億4100万円、今期最終赤字70億4100万円からさらに悪化するのではないかと見られている。このため赤字の多角化事業から撤退して、決算をなんとか「マトモ」な形にしようと懸命の「モガキ」をしているように見受けられる。しかし、投資家が期待しているのは果たして、「取り繕った決算」なのだろうか。投資家がメルカリに期待しているのは、「夢」であろう。「可能性」であろう。このあたりのことを山田進太郎会長兼CEOはどのように理解しているのだろうか。「ただの企業」になってしまっては一巻の終わりだが、「夢」を持ち続けながら株主を納得させる道はあるのだろうか。

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