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コロナ禍でもアダストリアとJ. フロントの第3四半期が好決算な理由は?

Jan 4, 2022.三浦彰Tokyo,JP
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年も押し迫った12月27日にアダストリア、12月28日にJ.フロントリテイリングの第3四半期決算がそれぞれ発表になった。いずれも増収増益を達成し、日本のアパレル関連企業、百貨店関連企業として、突出した業績を残している。

まずアダストリアの第3四半期(2021年3月1日〜2021年11月30日)決算は、
・売上高:1467億3,100万円(+10.5%)
・営業利益:44億8,300万円(+304.6%)
・経常利益:57億2,500万円(+83.7%)
・親会社に帰属する四半期純利益:35億3400万円(+187.6%)

コロナ禍に苦しんだ昨年を大きく上回った。ただし、コロナ禍の影響が2020年2月期第3四半期決算(2019年3月1日〜2019年11月30日)の同社の史上最高決算の数字を思い出してみると、
・売上高:1642億8,000万円(+1.2%)
・営業利益:119億7,000万円(+110.0%)
・経常利益:118億7,100万円(+103.5%)
・親会社株主に帰属する四半期純利益:69億800万円(+124.2%)
これに比べると売上高、利益ともに道半ばという水準だ。とはいえ、ファーストリテイリング、無印良品などのグローバルSPAやしまむらなどを別格とすると、ヤングゾーンを対象にした多ブランド型SPAとしては、パルグループホールディングスと並んで東西を代表する存在になったと考えてよいだろう。

アダストリアの場合、旧社名ポイント時代の「ローリーズファーム」の1本足経営から、「グローバルワーク」「スタディオクリップ」の本格化、そして2007年にスタートした大型ライフスタイル型セレクトショップの「ニコアンド」の大成功がアダストリアの現在を支えていると言える。新しいブランド、事業を創り上げる企業力がいかに重要かの良い見本だ。今後の同社の課題は、海外戦略をいかに軌道に乗せるかだろう。

百貨店業界において、J.フロントリテイリングが発表した第3四半期(2021年3月1日〜2021年11月30日)決算も注目すべき数字だった(国際基準による連結決算)。
・総額売上高:6233億4,800万円(+16.6%)
・営業利益:44億700万円(前年は184億8,300万円の赤字)
・親会社の所有者に帰属する四半期純利益:36億6,900万円(前年は156億3,200万円の赤字)

前年2021年2月期第3四半期から一転して黒字化を果たしている。J.フロントリテイリングより規模的に上位にある三越伊勢丹ホールディングス、高島屋、エイチ・ツー・オーリテイリングに次いで第4位である同社がいち早く黒字化を成し遂げた。その大きな要因として挙げられるのは、同社が百貨店のショッピングセンター化を推進して来たことだ。つまり従来の掛率による仕入れ方式から家賃方式への移行を積極的に進めて来た。例えば、2017年4月20日にオープンしたGINZA SIXが良い例だが、運営はテナントからの家賃収入が収益源だ。つまりショッピングセンター化で売り上げの上下による業績の変動がない安定した収益が見込めるのである。こうした方針転換は、奥田務会長兼最高経営責任者の跡を次いだ山本良一社長(2013年就任)の英断によるところが大きい。このコロナ禍で塗炭の苦しみに喘ぐ百貨店業界で黒字化を達成できたのは、百貨店の構造的な問題点を把握しその改革にいち早く着手したためだ。百貨店が構造不況業界種であるのは間違いないが、なぜこうした業界改革が他の百貨店で行えないのか不思議だ。利益重視と言いながら掛け率の上下で仕入れ業者との癒着関係を続けていては、現在の苦境を脱出することは難しいだろう。

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