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オンワードとウィゴーの資本業務提携はうまく行くのだろうか?

Jun 6, 2023.三浦彰Tokyo, JP
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オンワードホールディングスがウィゴー(WEGO)の発行済株式の20.27%を第三者割当て増資の形で取得し、資本業務提携するという。オンワードHDはウィゴーの強みであるZ世代向けのマーケットプラットフォームを活用し、若年層という新たな顧客の獲得につなげる。一方ウィゴーはオンワードHDが有する商品・生産プラットフォーム、ECを中心としたデジタルプラットフォームを活用することでさらなる事業展開を期待しているという。

ウィゴーの株主と社長はこの5年ほど目まぐるしく代わっている。ウィゴーの歴史は1994年に中澤征史氏が大阪のアメリカ村で古着ショップをスタートしたことに始まる。その後2017年8月に中澤氏が投資会社オーチャードコーポレーションに株式を売却。オーチャードの社長の伊藤忠寛氏が新社長になり、中澤氏は取締役ではない会長職へ。しかしその3カ月後の11月にアラタマコーポレーション(ブラザー工業の創業ファミリーの資産管理会社)がオーチャードから株式を買っている。社長には米国公認会計士の高橋英朗氏が就任。中澤氏は取締役会長に就任。さらに2018年には投資ファンドのJ-STARが買収し、社長には事業部長だった園田恭輔氏が就任。

どうも、落ち着かない。中澤氏がオーチャードに株式を売却した2017年あたりから業績は下向気味だったと言われている。Z世代の新マーケット拡大が生き残りのための絶対条件だと考えるオンワードHDが持ちかけられた資本業務提携に乗ったというのが真相だろう。

この提携うまく行ってほしいとは思う。しかし、もう40年も「オンワード」という企業を見てきた者としては、かなり難易度の高い業務提携のように感じられる。オンワードHDが考えていたことはウィゴーの全株式を取得して「君臨すれども統治せず」のスタイルを基本にして100%連結企業として完全買収することだったのではないかと思う。今回の資本業務提携は次善策だったのではないか。

オンワードHDの企業買収として成功している例は、私が知る限りでは、海外ではJ.プレス、国内ではアイランド(「グレースコンチネンタル」などのブランドの企画・販売)、クリエイティブヨーコ(ペットグッズの企画・販売)などだ。総務・経理などのバックオフィス機能はオンワードが掌握しても、その他メイン機能については従来路線を継承して「君臨すれども統治せず」の姿勢を貫いた場合のように思う。ただし上述の両社でも、2020年3月からオンワード樫山出身の末松和幸氏がクリエイティブヨーコの社長に就任し、やはりオンワード 樫山出身の谷澤俊輔氏が2023年3月からアイランド社長に就任している。最初から買収企業に社長派遣している数少ない成功例はチャコットということになるだろうか。

今回の業務提携は、それぞれが相手のメリットを吸収していくというが、簡単に言って、水と油のような両社をひとつのボトルに入れてかき回すようなものだろう。お互いに尊敬の念を持って提携相手を見るということがあるのだろうか。 立ち位置が違い過ぎて、もし業務提携しなければお互いに「え?」という疑問符が付くような相手なのではないか。そこまでではないにしても少なくとも、相思相愛の関係ということはまずない。それを乗り越えて、お互いのメリットを吸収し成果が出たとすれば、それはそれで素晴らしいことだとは思うが。

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