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小学館やポケモンも出資するオーバーラップHDが新規上場へ 「紙から広げるIP」戦略でグロース市場に挑む

NEWSep 1, 2025.セブツー編集部Tokyo, JP
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東証グロース市場に新たな顔ぶれが加わる。出版・エンタメ事業を展開するオーバーラップホールディングス(本社:東京都品川区、代表取締役社長:永田勝治)は、東京証券取引所から新規上場(IPO)の承認を受けたと8月28日に発表した。上場日は10月3日を予定している。

同社のルーツは2011年11月に設立された出版社のオーバーラップだ。永田勝治氏はリクルートやメディアファクトリーでキャリアを積み、同社の立ち上げを主導。以後、ライトノベルやコミックス、攻略本の出版、さらにはアニメ・ゲームなどのメディアミックス展開を得意として事業を拡大してきた。2022年には持株会社体制へ移行し、現在のオーバーラップホールディングスが誕生した。出版大手の小学館や「ポケットモンスター」のプロデュースやライセンス管理を手掛けるポケモンなども出資している。

最大の強みは、知的財産(IP)を中心にしたメディア戦略だ。ライトノベルを原作にしたアニメ化やゲーム化、さらに関連書籍やグッズなど多角的な展開で収益を伸ばしている。これまでに「ポケットモンスター」の公式攻略本シリーズをはじめ、人気ライトノベルやコミックスの出版で知られ、ファン層を広く獲得してきた。

業績面では堅調な成長を見せている。2024年8月期の通期決算では、売上高にあたる売上収益は84億300万円、営業利益は21億5100万円、親会社株主に帰属する当期利益は11億4700万円を計上。今期の業績予想では、売上収益は86億100万円(前期比2.4%増)、営業利益31億4400万円(同46.2%増)、純利益20億600万円(同79.6%増)と大幅な利益成長を見込んでいる。

グロース市場は、新しい成長産業や高成長を志向する企業が集まる市場として位置付けられている。出版業は一般的に成熟産業とみられがちだが、オーバーラップHDはIPビジネスを軸にした横展開によって成長を描こうとしている。近年、ライトノベルやウェブ小説から生まれるヒット作は、アニメ化・ゲーム化によって世界的な人気を獲得するケースも多い。オーバーラップもこの流れに乗り、出版を起点とした「知財の育成・拡張」をビジネスモデルの中心に据えている。

出版とエンタメの融合が加速する中、オーバーラップホールディングスの上場は「紙から広げるIPビジネス」の可能性を市場に示すものとなりそうだ。10月の上場時には株価動向に加え、成長戦略への評価が注目される。日本発のIPを世界に広げられるか。グロース市場での戦いが始まる。

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